ホームAV事業売却で背水の陣のオンキヨー、何で稼ぐ?
オンキヨーが子会社のオンキヨー&パイオニア(東京都墨田区)を中核とするホームAV(音響・映像)事業を、米サウンド・ユナイテッド(カリフォルニア州)へ売却する。売却益を車載・テレビ用スピーカーといったOEM(相手先ブランド)事業など成長分野に投資する。スピーカーやアンプなど、全社売上高の約7割を占めるホームAV事業を手放すことで事業規模は大幅に縮小する。身を切る改革で経営を再起動できるか。再建の新たな出発点に立つ。
ホームAV事業の売却額は、関連収益を含め約100億円の見通し。6月26日の株主総会での承認を経て、7月1日に売却する予定。現時点では売却に
よる特別利益を確定できないため、5月24日に発表した2020年3月期連結業績見通しでは、当期損益の公表を見送った。
売却対象となる製品群は「オンキヨー」と「パイオニア」の2ブランドで展開するホームシアター、AVレシーバー、スマートスピーカーなど。売却後もオンキヨーブランドは残し、今後は年数億円程度の安定したライセンス収入を見込む。
オンキヨーは1946年(昭21)に大阪市都島区で創業。スピーカーやアンプといった据え置き型の音響機器で一時代を築いた。だがスマートフォンなどのモバイル機器によって音楽を手軽に楽しめるようになり、市場規模は縮小の一途をたどる。
苦境が続く中でオンキヨーは15年3月に、パイオニアのホームAV事業を買収。オンキヨー、パイオニアの両製品の資源を統合し経営効率化を進めた。だが市場縮小の流れにあらがえず、赤字経営が続いていた。
18年に入ると構造改革を断行。業務用音響機器事業を手放したほか、欧州の販売子会社や国内のサポート子会社などを売却した。同改革が功を奏し、19年3月期に、6期ぶりに当期損益の黒字転換を果たした。その上でついに決断したのが、屋台骨のホームAV事業の売却だった。
今後の焦点は売却益をいかに戦略投資に回せるかだ。車載・テレビ向けOEM事業では、スピーカーユニットを使わず音を出力できる「加振器」などを強化し、顧客の裾野拡大を狙う。ヘッドホンやイヤホンなどのデジタルライフ事業では、急拡大するeスポーツ市場への進出も計画する。
かつての栄光にすがることなく、いかに市場開拓を進められるか。新生オンキヨーは背水の陣で経営の再構築に挑む。
(文=大阪・園尾雅之)
ホームAV事業の売却額は、関連収益を含め約100億円の見通し。6月26日の株主総会での承認を経て、7月1日に売却する予定。現時点では売却に
よる特別利益を確定できないため、5月24日に発表した2020年3月期連結業績見通しでは、当期損益の公表を見送った。
売却対象となる製品群は「オンキヨー」と「パイオニア」の2ブランドで展開するホームシアター、AVレシーバー、スマートスピーカーなど。売却後もオンキヨーブランドは残し、今後は年数億円程度の安定したライセンス収入を見込む。
オンキヨーは1946年(昭21)に大阪市都島区で創業。スピーカーやアンプといった据え置き型の音響機器で一時代を築いた。だがスマートフォンなどのモバイル機器によって音楽を手軽に楽しめるようになり、市場規模は縮小の一途をたどる。
苦境が続く中でオンキヨーは15年3月に、パイオニアのホームAV事業を買収。オンキヨー、パイオニアの両製品の資源を統合し経営効率化を進めた。だが市場縮小の流れにあらがえず、赤字経営が続いていた。
18年に入ると構造改革を断行。業務用音響機器事業を手放したほか、欧州の販売子会社や国内のサポート子会社などを売却した。同改革が功を奏し、19年3月期に、6期ぶりに当期損益の黒字転換を果たした。その上でついに決断したのが、屋台骨のホームAV事業の売却だった。
今後の焦点は売却益をいかに戦略投資に回せるかだ。車載・テレビ向けOEM事業では、スピーカーユニットを使わず音を出力できる「加振器」などを強化し、顧客の裾野拡大を狙う。ヘッドホンやイヤホンなどのデジタルライフ事業では、急拡大するeスポーツ市場への進出も計画する。
かつての栄光にすがることなく、いかに市場開拓を進められるか。新生オンキヨーは背水の陣で経営の再構築に挑む。
(文=大阪・園尾雅之)
日刊工業新聞2019年5月27日