内陸型のすみだ水族館が、すべて人工海水って知ってた?その驚くべきノウハウ

施設内部の装置で製造、塩分濃度や汚れの除去などを工夫。捨てる水は全体のわずか1%

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人工海水製造は浄水と塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどを配合する
 すみだ水族館(東京都墨田区)は、水槽の水を100%人工海水でまかなっている。東京の新名所「東京スカイツリー」に隣接する都市型水族館で、都心にほど近く気軽に足を運べる「癒やしの空間」だ。夏休みとあって連日のにぎわいをみせている。国内ではほとんど例がなく、設備の運用には苦労も多かったが、開業から3年が経過し、着実にノウハウを積み重ねている。

 すみだ水族館は2012年5月、東京スカイツリーの開業と同時にオープンした。屋内開放型では国内最大規模のペンギンプールや、東京・小笠原諸島の海を再現した「東京大水槽」など迫力ある展示も目立つ。

 一方で館内のスペースにはゆとりがあり、抑え気味の照明が落ち着いた空間を演出している。親子連れや外国人観光客、仕事帰りに立ち寄るサラリーマンなど「大人から子どもまで楽しめる『癒やしの空間』」(すみだ水族館広報チームの山田雅庸氏)として親しまれている。

 快適な空間づくりのカギを握るのが徹底した空調の制御だ。同水族館の機械設備を担うオリックス・ファシリティーズ(東京都渋谷区)は二酸化炭素(CO2)濃度や温度をもとに施設内の「不快指数」を常時計測し、空調を制御している。「開業1年目はエネルギーを使えるだけ使っていた。ノウハウの蓄積が進んだ今は来館者数との兼ね合いでエネルギーを極力削減している」(押野丈夫すみだ水族館事業所長)。

 また、海から離れた内陸型の水族館は海水の運搬が苦労のタネ。すみだ水族館は人工海水を施設内部の装置で製造し、循環させることで一定の水質を保ちつつも海水運搬時に発生するCO2の発生を抑えている。

 装置で1回に作れる海水は7・2立方メートル。塩分濃度は3・2―3・5%で魚類系と海獣系では配合が違う。製造した海水は一度地下のピットにためてから補給用タンクにポンプで運び、各水槽に送り込む仕組みだ。逆に水槽から集めた海水は専用の浄化装置で汚れを除去して再利用する。ある程度循環した水は配管の洗浄に使い、最終的に捨てる水は全体の1%ほどにとどめている。

 設備の制御はシステム化されているとはいえ、生き物が相手だけに不測の事態も発生する。魚の病気を防ぐため、バルブを微調整して配管内に不要な空気を取り込まないようにするなど人手に頼る作業も多い。神経を遣う仕事だが、「設備に起因する事故ゼロが我々の使命」(同)と万全な運営に力を注ぐ。
(文=斎藤正人)

日刊工業新聞2015年08月21日 中小企業・地域経済面

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア事業担当 DX統括

こういうのはぜひ国内外の他の水族館にも広めて欲しい。

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