『ヨソモノ』が活性化させる、宮城・女川町―創業・起業支援 復興を加速

U・Iターン希望者を取り込む

人口減少に対応


 東日本大震災で甚大な津波被害を受けた宮城県女川町で、創業・起業による地域活性化プロジェクトが立ち上がっている。3月にJR女川駅の新駅舎と、創業・起業支援拠点がオープン。年度内にはテナント型商店街が開業する。創業・起業希望者や個人事業主など、いわゆる『ヨソモノ』の仕事場として女川町を提案し、交流人口を増やす狙いだ。厳しい現実を打破しようとする地域の取り組みを追った。

 石巻市に隣接する漁業の町、女川町は主要施設の多くが津波で流失した。町の中心部は震災から4年半が近づく今も、かさ上げ工事の真っ最中。仮設での営業が多く、事業用地の確保が難しいのが現状だ。

 【人口減少】
 さらに人口減も追い打ちをかける。もともと過疎高齢化が進んでいたところに震災が起こり、町の人口は震災前の約1万人から約7000人にまで減少した。減少分の3分の2は他地域への移住者とみられる。

 町は「現在の住民が住み残り、移住した住民が戻り、かつ新たな人や考えが入ってくる町にしなければならない」(女川町産業振興課)と考え、事業用地の整備や創業・起業支援体制を整える。今年度内には駅前にテナント型商店街が開業する。駅周辺で新規創業者を含む約40店舗が営業を始める予定だ。

 創業・起業支援で女川町は今年2月、産業競争力強化法に基づき、経済産業省から「創業支援事業計画」の認定を受けた。認定連携創業支援事業者はNPO法人アスヘノキボウ(女川町)、女川町商工会。

起業支援体制整える


 【相談窓口を設置】
 アスヘノキボウは3月、女川駅前の創業・起業支援拠点「Camass(カマス)」の運営を始めた。同施設内にワンストップ相談窓口を設置。共働の場である「コワーキングスペース」として運営するほか、創業計画の策定支援などを手がける。

 7月に開いた創業個別相談会には4人が参加。30代など若手が中心だ。出身地の女川町に戻り創業したい人もおり、こうしたU・Iターン希望者を取り込む。

 創業・起業希望者や個人事業主など、いわゆる『ヨソモノ』にも照準を定める。クラウドソーシング大手のランサーズ(東京都渋谷区)と連携し、個人事業主の仕事場として女川町を提案する。

 【融資制度も】
 6月には、ソーシャルビジネスやUターン希望者向けの融資制度を擁する日本政策金融公庫石巻支店と連携。創業相談から資金調達まで相談できる体制を整えた。

 石巻市や女川町などを営業エリアとする日本公庫石巻支店では、2014年度の創業融資実績が45企業(前年度比1・3倍)、2億9500万円(同1・7倍)と、2年連続で増加した。融資先の多くは石巻市で事業展開しており、女川町での融資も、今後は伸びるとみられる。

 女川町、女川町商工会、アスヘノキボウは「女川で創業しなくても、女川で学んだことを他の地域で生かしてもらえればいい」と口をそろえる。女川ファンを作り、いかにつながり続けるか。小さな町の挑戦はいま、始まったばかりだ。
(文=仙台・森崎まき)

日刊工業新聞2015年08月20日 中小企業・地域経済面

昆 梓紗

昆 梓紗
08月21日
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女川のファンになり起業、地元での雇用を生み出すようになれば人口も増えます。既存企業とのつながりや地域の魅力をいかに伝えられるかもポイントになりそうです。

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