発電所1基分を節電した実績をひっさげ日本上陸。エナジープールの実力とは?

日本にデマンドレスポンス市場が成立するのか?

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DRのオペレーションルール
 デマンドレスポンス(DR、需要応答)サービス欧州大手の仏エナジープールが日本での営業を本格化している。電力会社に代わって需要家に節電を依頼し、電力需給を調整する事業の開始を目指す。欧州で発電所1基分の電力を削減した実績をひっさげての日本進出だが、最大の問題は日本にDR市場がないこと。本場のDRサービス事業者の登場が国内市場創出の起爆剤となるか注目される。

 「鉄鋼、セメント、製紙の生産工程は世界どこでも同じ。我々は生産ラインを熟知しており、日本でもネガワット(節電量)を作り出せる」。日本法人のエナジープールジャパン(東京都港区)の市村健社長は言い切る。

 【ノウハウ通じる】
 DRは電力不足が予想される時、需要家が節電に協力して需給を調整する仕組み。電力会社が要請する削減量と同量の節電量を需要家から集められるかがDRサービス事業者の腕の見せ所。エナジープールの欧州での節電の依頼先の多くが電力多消費型工場だ。生産への影響を最小に抑えながら節電に協力してもらうノウハウは日本でも通用するという。

 【連携を模索】
 同社が「コアコンピタンス(優位な技術)」(市村社長)と語るのが「エベレスト」と呼ぶアルゴリズム(計算手法)だ。工場別、時間別にどの設備を調整するといくら節電できるといった判断を瞬時に下し、電力会社が減らしたい電力需要を工場に自動配分する。複数の工場をとりまとめて50万キロワット規模を一度に節電した実績を持つ。電力会社は、火力発電所を緊急稼働せずに電力不足を回避した。

 日本では電力供給に余裕が生まれ、DRの必要性を感じにくい。実際にDRは実証ばかりで、ビジネスとして成立していない。しかし「2016年4月に電力小売りが全面自由化されると、あらゆるサービスの連携が出てくる」(同)という。DRが機能すると火力発電所の増設投資や保守費を抑制できる。これは既存、新規の電力会社ともメリットであり、同社は電力会社との連携を模索する。

 日本には米大手エナノックも進出している。東芝などの電機メーカー、エナリスなどベンチャーもDRビジネスの参入を目指す。16年4月以降、エナジープールジャパンが本領を発揮するのか注目だ。

【解説】
 米国では火力発電所への規制が強化され、石炭火力を中心に増設が難しくなっています。フランスでも火力発電所の増設は難しく、欧州の電力自由化市場では火力発電所の廃炉が加速されています。つまり電力不足に陥りやすく、DRの必要性が生まれています。
それが日本では火力発電所の増設計画が相次ぎ、原発が再起動されつつあります。DRの実証が始まっていますが、市場が成立するのか不透明と感じています。市村社長が語るように、電力自由化がDRビジネスが生まれるポイントとなるのか、注目です。

日刊工業新聞2015年08月14日 建設・エネルギー・生活面に掲載記事に加筆

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

工場など電力を使う需要家に節電を要請するのがエナジープールのビジネスです。電力不足の回避に成功すると電力会社から報奨金を受け取れ、需要家には節電実績に応じた協力金を支払います。エナジープールのように電力会社に代わって複数の需要家に節電を要請する事業者を日本では「DRアグリゲーター」と呼びます。DRは仕組みとしては発電所の増設を抑制する効果があると期待しています。海外からの参入者が市場を創造する起爆剤の一つになってほしいと思います。

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