人間ってすごい、VtuberがAIに圧勝した「ニコニコ超会議」の現場
「自由会話でAIが人間に勝つのはまだ難しい」
親身な接客やコミュニケーションは人間と人工知能(AI)では、まだまだ人間が勝る領域だ。ネットの住民が集まる「ニコニコ超会議2019」で選ばれたのはAIでなくVtuberだった。等身大のキャラクターAIが身ぶり手ぶりで動くよりも、まばたきしかしない二次元(2D)のVtuberに長蛇の列ができた。今後はどちらか単独ではなく、両者が補完し合う運用が求められる。(小寺貴之)
「自由会話でAIが人間に勝つのはまだ難しい」と東京大学の鳥海不二夫准教授は説明する。超会議の「VTuberフェスジャパン」では一対一の会話やバーチャル握手会、ゲーム実況などのブースに黒山の人だかりができた。チケット1枚1分間の二人だけの会話に長蛇の列ができた。
対してキャラクターAIとの対話ブースはほとんど待たずに体験できる。AIとの受け答えは成立するものの、ユーザーの心を惹き付けるまでには至らない。
技術としてはとても高度なものが使われている。対話AIの言葉選びだけでなく、大型ディスプレーに等身大のキャラクターを映し、会話の内容に応じて身ぶり手ぶりも生成している。ユーザーに褒められてはしゃぐしぐさや、意地悪をいわれて不機嫌になったしぐさも自然にできるようになった。
一方、VTuberとの会話ブースでは、動くのは目のまばたきだけのキャラクターもいる。それでも話し始めると、その存在感にユーザーは用意していた言葉を失い、フリーズした自分自身に慌てるユーザーが何人もいた。そこにキャラクターの中の演者が、ユーザーをうまくフォローし、二人だけの会話が紡がれていく。
おしゃべりブースを企画したパノラプロ(東京都調布市)の広田稔社長は「ユーザーが普段ネットでVTuberと話す際は1対Nで、ユーザーは多数の中の一人。初めて二人だけで話しをすると、相手が生きていて存在すること実感する。この衝撃が強く頭が真っ白になってしまう」と説明する。
VTuberによっては、演者上半身の身ぶり手ぶりがキャラクターに反映されていたり、3次元(3D)調のキャラクターの髪が自然に揺れていたりと、技術の利用度合いはさまざまだ。だが技術うんぬんでなく、キャラクターの演者が最初の一言で心をつかんでしまう。広田社長は「AIだと実在感を増すために、3Dや空中投影などの見た目でリアル感を演出する。VTuberは会話がリアルで、見た目は普通のアニメで満足してもらえる」と、手応えは大きい。
握手会ブースでは一対一で会話しながらタブレット画面のキャラクターを〝なでなで〟して二人の時間を過ごす。現在の対話AIを開発するためのコストを考えると、いつ人間に費用対効果で勝る時が来るのか不安になる。アイドルや俳優、声優の卵はたくさんおり、そもそも稼ごうと思っていない普通の人も演者になれる。
必ずしもAIは人間の代わりを目指す必要はない。鳥海准教授は超学会ブースで人狼AIの研究を紹介した。人狼という対話ゲームを通して、ルールの中で人を説得するAIが開発されている。人狼AIの開発を通して、理屈で人から納得を引き出すポイントを抽出できれば、人と人の会話を支援できる。
Vtuberは1対Nの会話でユーザー一人一人の満足度を高めるのが課題だ。AI技術で多数からの声を整理できれば、普通の人でも一人一人に刺さる会話ができるかも知れない。さらにVtuberはアイドル業だけでなく、店頭販売員や飲食店での接客、企業広報なども応用が試みられている。広田社長は「キャラクターを介したコミュニケーションはさまざまな場に展開できる。バーチャルの出口を広げていきたい」と力を込める。
「自由会話でAIが人間に勝つのはまだ難しい」と東京大学の鳥海不二夫准教授は説明する。超会議の「VTuberフェスジャパン」では一対一の会話やバーチャル握手会、ゲーム実況などのブースに黒山の人だかりができた。チケット1枚1分間の二人だけの会話に長蛇の列ができた。
対してキャラクターAIとの対話ブースはほとんど待たずに体験できる。AIとの受け答えは成立するものの、ユーザーの心を惹き付けるまでには至らない。
技術としてはとても高度なものが使われている。対話AIの言葉選びだけでなく、大型ディスプレーに等身大のキャラクターを映し、会話の内容に応じて身ぶり手ぶりも生成している。ユーザーに褒められてはしゃぐしぐさや、意地悪をいわれて不機嫌になったしぐさも自然にできるようになった。
一方、VTuberとの会話ブースでは、動くのは目のまばたきだけのキャラクターもいる。それでも話し始めると、その存在感にユーザーは用意していた言葉を失い、フリーズした自分自身に慌てるユーザーが何人もいた。そこにキャラクターの中の演者が、ユーザーをうまくフォローし、二人だけの会話が紡がれていく。
おしゃべりブースを企画したパノラプロ(東京都調布市)の広田稔社長は「ユーザーが普段ネットでVTuberと話す際は1対Nで、ユーザーは多数の中の一人。初めて二人だけで話しをすると、相手が生きていて存在すること実感する。この衝撃が強く頭が真っ白になってしまう」と説明する。
VTuberによっては、演者上半身の身ぶり手ぶりがキャラクターに反映されていたり、3次元(3D)調のキャラクターの髪が自然に揺れていたりと、技術の利用度合いはさまざまだ。だが技術うんぬんでなく、キャラクターの演者が最初の一言で心をつかんでしまう。広田社長は「AIだと実在感を増すために、3Dや空中投影などの見た目でリアル感を演出する。VTuberは会話がリアルで、見た目は普通のアニメで満足してもらえる」と、手応えは大きい。
握手会ブースでは一対一で会話しながらタブレット画面のキャラクターを〝なでなで〟して二人の時間を過ごす。現在の対話AIを開発するためのコストを考えると、いつ人間に費用対効果で勝る時が来るのか不安になる。アイドルや俳優、声優の卵はたくさんおり、そもそも稼ごうと思っていない普通の人も演者になれる。
必ずしもAIは人間の代わりを目指す必要はない。鳥海准教授は超学会ブースで人狼AIの研究を紹介した。人狼という対話ゲームを通して、ルールの中で人を説得するAIが開発されている。人狼AIの開発を通して、理屈で人から納得を引き出すポイントを抽出できれば、人と人の会話を支援できる。
Vtuberは1対Nの会話でユーザー一人一人の満足度を高めるのが課題だ。AI技術で多数からの声を整理できれば、普通の人でも一人一人に刺さる会話ができるかも知れない。さらにVtuberはアイドル業だけでなく、店頭販売員や飲食店での接客、企業広報なども応用が試みられている。広田社長は「キャラクターを介したコミュニケーションはさまざまな場に展開できる。バーチャルの出口を広げていきたい」と力を込める。
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