7月の中国新車販売、外資の国別シェアで日系がトップに

トヨタ、ホンダ、マツダが販売増。天津の爆発事故で先行きは不透明

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今年の上海モーターショーのトヨタブース
 日系自動車メーカー7社の7月の中国での新車販売台数は、トヨタ自動車、ホンダ、マツダが販売増となった。中国自動車工業協会によれば7月の新車販売は前年同月比7・1%減となった。日産自動車など残り4社が減少したものの、国別の乗用車シェアで日本車は外資系でトップとなり健闘した。ただ天津の爆発事故でトヨタが生産停止に追い込まれており、先行きは不透明な情勢だ。

 トヨタは主力車「カローラ」「レビン」の好調に加え、スポーツ多目的車(SUV)「ハイランダー」の新車効果も寄与した。ホンダは小型SUV「ヴェゼル」「XR―V」が牽(けん)引し5割の高い伸びを示した。日産は小型商用車の全需低迷と乗用車の販売競争激化が原因で前年割れとなった。

 市場は4カ月連続で前年割れが続く。景気減速に加え株価急落の影響もあると見られる。市場が縮小し販売競争が激しさを増す中、日系メーカーの乗用車シェアは20%となり独系(19%)、米系(12%)を上回った。

 一方で、トヨタは12日に天津市の港湾地区で起きた爆発事故の影響で19日までの3日間、同市内の車両工場操業を停止している。好調な売れ行きをみせるカローラを生産している。調査会社IHSオートモーティブによればトヨタは日当たり2200台の生産ロスが生じる。事件の影響が長引けば好調な販売に水を差しかねない。

VWや現代自動車が失速。相次ぐ値下げで“消耗戦”


 「景気減速の影響が出て変調を来している」(大竹哲也トヨタ自動車常務役員)、「4月から6月まで悪化し7月はもっと厳しい」(日産自動車の関潤専務執行役員)。2015年4―6月期連結決算の会見では中国自動車市場の厳しい見方が相次いだ。市場の減速感が強まる中、値下げによる販売競争が激しさを増している。

 中国自動車工業協会(CAAM)によると新車販売は7月まで4カ月連続の前年同月割れ。景気減速が販売に影を落とす。失速が目立つのが最大手の独フォルクスワーゲン(VW)だ。1―6月は前年同期比3・9%減、韓国・現代自動車も同7・7%減となった。

 販売をテコ入れしようと値下げが相次いでいる。VWは「パサート」など主力モデルで最大2万元(40万円)の優待キャンペーンを実施。米ゼネラル・モーターズも5月に価格引き下げを発表、一部モデルのグレードの下げ幅は5万4000元(約110万円)にも達する。中国市場に詳しい調査会社フォーインの平野孝治氏によれば「これはメーカーの希望小売価格でディーラーがさらに値引きして販売している」。

 欧州・韓国勢の販売減とは逆にトヨタ、ホンダ、マツダなど日本勢は販売増で健闘しているが、トヨタの大竹常務役員は「販売価格を下げる厳しい環境だ。台数が伸びても収益的に楽観はできない」と指摘する。競合の値下げ攻勢に応戦せざるを得ない状況だ。

 中国自動車流通協会(CADA)によれば、6月のディーラー在庫早期警戒指数は64・6で、警戒ラインとする50を9カ月連続で超えている。流通在庫の過剰が販売競争激化の背景にある。さらに7月以降の株価急落が輪をかける。「株価の影響は間違いなくある」と日産の関専務執行役員は話す。現にCAAMによれば7月の新車販売は前年同月比7%減と下げ幅が拡大した。

 高級車市場への影響を指摘する声もあるが、平野氏によれば中国最大の市場を形成する小中型の「Cセグメント」で販売低迷につながっている。中国株式市場は一般投資家が多く、Cセグメントの客層が多い一般市民の購買意欲をそいでいるからだという。

 「需要は株価に連動する。株価が乱高下し上昇基調が見えにくいから需要も弱さが続く」とみるのは浜銀総合研究所の深尾三四郎主任研究員。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは「販売競争はしばらく続く。どのメーカーもこの競争から逃れるのは難しいだろう」とみる。市場の低迷が続けば販売競争は消耗戦の様相を強めそうだ。
(文=池田勝敏)

日刊工業新聞2015年08月14日1面/19日 自動車面

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

中国ということでさまざまな思惑が働き、日本勢が今後も独り勝ちということはないだろう。当面、市場の低迷は続くので、各社はいかにソフトランディングさせていくかだ。

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