オスプレイのベルヘリコプターCEO「日本は防衛・民間の重要市場」

単独インタビュー「富士重工と共同開発・生産するUH-Xも、大きな意味を持つプログラム」(ガリソン氏)

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ベルヘリコプター・テキストロンのガリソンCEO
 今年で創業から80周年を迎えた米国のベルヘリコプター・テキストロン。今年1月には、日本法人のベルヘリコプターが設立され、東京・渋谷区の恵比寿ガーデンプレイスにオフィスを開いた。

 7月に入ると、中型双発ヘリコプター、「525リレントレス」が米国で初飛行に成功。日本国内では、7月17日に陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター「UH-X」の開発事業者に富士重工業が選定され、ベルは同社と共同で開発を進めていく。また、「V-22オスプレイ」が陸上自衛隊の垂直離着陸輸送機として選定されている。

ガリソンCEO「石油やガス採掘で需要が低下している」


 7月末に来日したベルヘリコプター・テキストロンのジョン・ガリソンCEO(最高経営責任者)に、世界市場や今後の日本展開について聞いた。

 ─ 世界市場やアジア市場でのベルのビジネスは、どのような状況にあるか。
 「世界的な市場を見ると、市場全体が難しい時期だ。受注数でも納入数でも、今までよりも減少している。各社で販売が落ちている。ベルも販売は落ちたものの、他社と比べると業界全体の下げ幅よりは落ちておらず、受注数も納入数も踏みとどまっている。こうした環境下で、ベルの戦略としては407GXや429WLG、412EPIのように、既存のヘリコプターを改良することに投資している」

 ─ 中国経済の落ち込みは影響が出ているか。
 「中国経済の成長鈍化で、我々も年別で実績を見ると落ちている。しかし、世界全体の状況と同じように、競合他社と比べれば成長鈍化の影響はそこまで受けていない」

 ─ どういった理由でビジネスが難しくなっているのか。
 「石油やガスの採掘分野でのヘリコプター需要が落ち込んでいる。世界的に原油価格が下落したことにより、ガスのニーズも減ってきている。これが理由の一つだ。石油に限らず、銅やスズといった資源の相場が下落しており、こうした資源関連を主要産業とする国からの受注が落ちている」

 「また、中東やウクライナ、ロシアなど、政治的な不安定要素が世界に広がっている中で、購入を待とうという買い控えの動きが出ている。世界情勢やいろいろな市場については、ベル一社でコントロールできるものではない。逆にベル自身がコントロールできる社内の状況に関しては、厳しいけれども、競合他社よりはしっかりやるようにと、社員にげきを飛ばしている」

 ─ ベルのお膝元である米国の状況は。
 「販売が落ちていると言えば落ちているが、他国と比べればましなほうだ。企業用途も今までほどではないにせよ需要があり、緊急医療輸送(EMS)も比較的順調に伸びている。あとは富裕層の利用だ。米国は使い方が多岐にわたるようになっており、先ほどの資源国のように何か一つの資源の価格が下落したらダメになるというものでもない。これにより、世界的な需要の落ち込みに対して抵抗力がある」

 ─ では、日本市場はどのように映っているのか。防衛と民間両分野について見解を。
 「防衛については、ご存じの通り最近大きな発表が2つあり、非常に手応えを感じている。V-22オスプレイは日米政府間で5機の契約が結ばれ、今後12機続いていく」

 「また、富士重工と共同開発・生産するUH-Xも、大きな意味を持つプログラムだ。日本政府にとっても、富士重工にとっても、我々にとっても大きな意味を持つ。いま陸上自衛隊が使用しているUH-1Jを改良し、さらに強化するものになる。富士重工とのUH-Xのプロジェクトは、日本の航空産業の基盤をさらに強固にすると考えている」

COMMENT

吉川忠行
Aviation Wire
編集長

V-22オスプレイ導入や富士重工とのUH-X開発と、日本の防衛市場で大きな動きがあった米ベルのガリソンCEOに、世界市場の動向や今後の日本戦略について、来日時に単独インタビューしました。

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