なぜ世界で増える?厨房ロボの秘密
コネクテッドロボティクス社長・沢登哲也 ⑤
ロボットを飲食業で用いようという実例はこれまでもあったが、今年は世界中で多くの企業が取り組みを本格化しはじめている。米国ではピザをロボで調理しデリバリーするZume(ズーム)や、ピザハットも車上でピザを温めるシステムを最近発表した。
スタートアップ企業でも、フランスのEkim(エキム)は、ピザの調理を全てロボット化したシステムを発表した。米Miso robotics(ミソ・ロボティクス、ロサンゼルス)はロボアームでハンバーガーのパテをひっくり返したり、ポテトフライを調理したりすることを実現している。米Creator(クリエイター、サンフランシスコ)はハンバーガーの調理を完全に機械化したシステムを作り自らの店舗をオープンした。
また、中国でも、ピザやカクテルバー、カフェ、そして鍋料理などをロボが調理し、運ぶといったシステムが実店舗で稼働している。電子商取引(EC)の阿里巴巴(アリババ)やJD.com(京東商城、北京市)などの大企業をはじめ、数々の企業が取り組みを活発化している。
厨房(ちゅうぼう)だけを見てもロボ化の波は今年、世界各国で本格化したと言える。各社は最初のシステムをリリースしはじめた段階で、今後1年ほどの試行錯誤による洗練を経て、2020年代は飲食業界のロボット化が大きく進むだろう。
コネクテッドロボティクスも国内にとどまらず海外でも飲食業の革新を目指している。国内の深刻な人手不足やキッチンの従事者の大きな苦労を解消するのは当然の使命である。だが、それだけでは我々が日本に存在する独特の価値はない。我々は日本の料理のおいしさを海外に届けたい。そして作りたての料理が持つうれしさや安心感を最重要視している。であるからこそ、たこ焼きのような調理にフォーカスしている。
日本の飲食店が海外に出る際、困ることの一つは現地での調理人の採用なので、我々のロボシステムで課題を解決し、海外のどこでも拡大可能なビジネスにすることを支援する。
飲食業は、世界的には急速に成長している。日本市場はほぼ成長していないが、日本だけを見ていると取り残される。私は米シリコンバレーで原稿を書いている。ここの飲食業の時給は20ドル近くまで高騰し、それでも避けられる仕事になりつつある。
我々はこの問題が日本だけの問題ではなく、まして一企業で解決できるとは到底考えていないので、仲間を必要としている。ふと見渡すと、優れたビジョンと実行力を持った飲食企業、厨房機器メーカー、投資家、そしてエンジニアやデザイナーといったさまざまな「仲間」が集まっている。これからもオープンであり続け、多くの仲間たちとこのイノベーションを実現したいと考えている。(全8回、毎日掲載)
スタートアップ企業でも、フランスのEkim(エキム)は、ピザの調理を全てロボット化したシステムを発表した。米Miso robotics(ミソ・ロボティクス、ロサンゼルス)はロボアームでハンバーガーのパテをひっくり返したり、ポテトフライを調理したりすることを実現している。米Creator(クリエイター、サンフランシスコ)はハンバーガーの調理を完全に機械化したシステムを作り自らの店舗をオープンした。
また、中国でも、ピザやカクテルバー、カフェ、そして鍋料理などをロボが調理し、運ぶといったシステムが実店舗で稼働している。電子商取引(EC)の阿里巴巴(アリババ)やJD.com(京東商城、北京市)などの大企業をはじめ、数々の企業が取り組みを活発化している。
厨房(ちゅうぼう)だけを見てもロボ化の波は今年、世界各国で本格化したと言える。各社は最初のシステムをリリースしはじめた段階で、今後1年ほどの試行錯誤による洗練を経て、2020年代は飲食業界のロボット化が大きく進むだろう。
コネクテッドロボティクスも国内にとどまらず海外でも飲食業の革新を目指している。国内の深刻な人手不足やキッチンの従事者の大きな苦労を解消するのは当然の使命である。だが、それだけでは我々が日本に存在する独特の価値はない。我々は日本の料理のおいしさを海外に届けたい。そして作りたての料理が持つうれしさや安心感を最重要視している。であるからこそ、たこ焼きのような調理にフォーカスしている。
日本の飲食店が海外に出る際、困ることの一つは現地での調理人の採用なので、我々のロボシステムで課題を解決し、海外のどこでも拡大可能なビジネスにすることを支援する。
飲食業は、世界的には急速に成長している。日本市場はほぼ成長していないが、日本だけを見ていると取り残される。私は米シリコンバレーで原稿を書いている。ここの飲食業の時給は20ドル近くまで高騰し、それでも避けられる仕事になりつつある。
我々はこの問題が日本だけの問題ではなく、まして一企業で解決できるとは到底考えていないので、仲間を必要としている。ふと見渡すと、優れたビジョンと実行力を持った飲食企業、厨房機器メーカー、投資家、そしてエンジニアやデザイナーといったさまざまな「仲間」が集まっている。これからもオープンであり続け、多くの仲間たちとこのイノベーションを実現したいと考えている。(全8回、毎日掲載)
日刊工業新聞2018年11月23日(ロボット)