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存在感なし…オンラインサービスで遅れる野村HDの反転攻勢なるか

存在感なし…オンラインサービスで遅れる野村HDの反転攻勢なるか

野村証券はLINEのAI製品に話しかけると、株価情報を提供する技術を実用化

 「野村ホールディングス(HD)のオンラインサービス分野での存在感のなさに驚く。対面によるサービスとはまったく別の世界」―。同社の池田肇未来共創カンパニー長は、デジタル化に伴う証券業界の大きな変化をこう説明する。

 野村HDはインターネット証券会社やフィンテック(金融とITの融合)企業の攻勢にさらされている。オンラインの口座数が約350万件、預かり資産が業界首位にもかかわらず、オンラインによる金融サービスを営業部門の補完機能と位置づけて、取り組みが甘かったためだ。顧客から、手数料の高さやサービスの使い勝手などの改善を求める声も上がっていたという。

 そこで営業や法人部門(ホールセール部門)などを横断する組織として「未来共創カンパニー」を1日付で設立。強みの顧客基盤を活用し業務やサービスのデジタル化をはじめとするイノベーションを目指す。社内にはフィンテック企業などに対抗する“武器”がそろう。資産運用に先端技術を活用するための研究室「イノベーション・ラボ」を設けているのに加え、金融サービスの領域にとらわれない事業の創出を目指す戦略子会社も抱える。

外部技術活用


 野村HDは外部の技術やノウハウを生かす動きも目立ってきており、LINEと証券事業の準備を進めている。多数の対話アプリケーション(アプリ)の利用者を持つ同社との関係が、野村HDにとって新たな商機を生むことになりそうだ。ベンチャー企業との協業なども重視しており、オンラインの金融サービス市場の攻略が本格化する。

 野村HDの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)は「非対面のサービスにあまり力を入れてこなかったこともあり我々は挑戦者だ。従来の発想にとらわれない」と意欲をみせる。野村HDの同市場での反撃が始まる。
日刊工業新聞2019年4月12日

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