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メード・イン・ジャパンの布製品が増えるかも?

ミシンメーカーの老舗JUKIが縫製ロボットを製品化
メード・イン・ジャパンの布製品が増えるかも?

JUKIのミシンを使った縫製工場

 JUKIは自動車分野の開拓を見据え縫製用ロボットを製品化する。カーシートなどの縫製工程でワークのセット、縫合などを行うロボットの開発に着手した。縫製ロボットは一部実用化されているものの、ミシンメーカーが手がけるのは珍しい。縫製関連のノウハウを生かしつつ、ロボットメーカーなど外部の自動化技術も採り入れ製品化を急ぐ。初期タイプは早ければ2015年内にもサンプル提供を始める計画。織物系の服飾分野を除いた自動車やニットなどの領域で2016年12月期売上高に現状比約25%増の410億円前後を目指す。

 シートやエアバッグなどの製造工場で働くロボットを開発する。生地のセットや縫合などの担い手として、多関節アーム型ロボットなど複数の形態を想定。社内に設けた研究部隊で仕様を決め、製品化に入る。産業用ロボットメーカーや大学との連携も計画している。

 シートなどの縫製工程では軟らかいワークを裏返すなど繊細な動きが求められるため、自動化が難しいとされる。作業の多くを人が担っているのが現状だ。一部の自動化機械メーカーなどが縫製ロボットを販売しているが、これらの課題から本格的な普及には至っていない。だが、アジアでの人件費高騰などを背景に自動化ニーズが急拡大しており、同社は旺盛な需要に応えるため開発に乗り出した。

 同社の縫製機器事業は14年12月期売上高が前期比13・3%増の779億円。うち6割ほどを主力の織物系服飾産業向けが占める。しかし、既存領域は成熟化しつつあり、車関連やニット類などを成長分野に位置付けている。
日刊工業新聞2015年03月06日 機械・ロボット・航空機面
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
布の様な柔らかいワークを扱う作業は、ロボットの参入が進んでいない分野の一つ。今はコストの問題もあり、布製品の生産地は新興国が中心です。技術が発展すれば、その流れも変わるかもしれません。

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