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日立の大型産業機器が分社化、掲げた3つの成長キーワードとは?
日立インダストリアルプロダクツ・小林社長インタビュー
日立製作所の高圧モーターやインバーター、ポンプなど大型産業機器事業を独立させた事業会社「日立インダストリアルプロダクツ」が1日に発足する。日立グループは2019年度から3カ年の「2021中期経営計画」がスタートする。新会社はどのような成長戦略を描くのか。小林圭三社長に聞いた。
ー売上高1,500億円、従業員5,200名規模とのことですが、分社化の狙いは。
「デジタル時代のニーズにあった強い製品を出し続けるため、機動力、経営効率を高めていくことが狙い。日立グループでは2018中計(2016ー2018年度)で2018年度調整後営業利益率8%をめざしており、次はさらにその上を狙うことになる。当社はモノづくりの会社として工場設備を有することから調整後営業利益率は日立グループの中では低いポジションにあるが、それに甘んじてはいけないという問題意識を持っている。その先の成長をめざしたい、という思いが分社化を決めた根本にある。一方で、独立会社になることに社員はいろいろな思いがあるだろうことは承知している。夢を実現するために新会社でスピーディな経営・投資判断を行い、私の思いを社員と共有していく」
ー次の3カ年は収益性だけでなく、売り上げにもこだわりますか。
「売り上げのトップラインは重要であり、投資を強化し、強いところを伸ばしていく。電機品は日立の鉄道部門向けの電車用モーターなど、縁の下の力持ちである強い『ビルトイン』製品を持っている。さらに、市場での電動化への期待は高く、シェールガスの掘削市場がその一例で、ディーゼルエンジン駆動の水圧破砕ポンプ用の電動ドライブ実証機を昨年11月に米国企業に納入したところ、年明けには複数台の実機採用が決まった。今後、高圧市場でも電動化の需要は高まるとみており、市場の変化に合わせて柔軟に対応することで売上を伸ばしていく」
ーポンプなどの機械系はコモディティー(汎用)化のリスクが高いと思うのですが。
「コモディティーであればこそセンサーを付ければ広く普及した『コネクテッド』な製品になり、予兆診断などのソリューションビジネスになる。イノベーションが進む物流市場向けのソリューションとして、当社は小型無人搬送ロボット『Racrew(ラックル)』を提供しており次の3年間で同製品の売上規模を倍以上にする考えだが、競争環境も激しくなる。お客さまの側では物流センターの高度化、24時間無人稼働が実現すると、さまざまなリスクが想定される。当社は、お客さまの安全・安心な運用の実現に向けた製品品質を確保するとともに、倉庫内を走り回るラックルが蓄積したデータを分析し最適な棚の位置や倉庫のレイアウトなども提案し、さらなる業務の効率化を支援する。このようなデジタルソリューションでお客さまの課題を一緒に解決する“日立らしさ”を全面に打ち出す」
ーソリューションビジネスになると、日立グループのデジタルイノベーションを加速させるLumada(ルマーダ)ソリューションを提供する部門との連携が重要になります。
「ポンプや圧縮機の生産拠点である当社の土浦事業所にLumadaソリューションを導入し、リードタイムを大幅に短縮した。土浦で生産管理改革を経験した現場の人財が、Lumada部隊と一緒にお客さまに提案することでより説得力が増すと考える。当社や量産系の産業機器を手がける日立産機システムが担うプロダクト部門を持つ日立に対して、デジタル化の成功事例などを参考にして、生産設備から経営管理、メンテナンスまでを含めたバリューチェーン全体での価値創出について一緒に考えて欲しい、というお客さまのニーズは多い」
ー現在、海外売上高比率は20%強です。生産体制を含めグローバル展開の方針は。
「これからの10年間でモノづくりは大きく変わる。既に工場の製造機能も3Dプリンターから大型機械加工装置まで広がりをみせており、海外での製造機能に対する考え方も変わってくる。コアとなる心臓部をどこで製作し、最終試験をどこで実施し製品に仕上げるのか、グローバルのサプライチェーン管理(SCM)を構築し強い製品を出していく」
ー最後に新会社の豊富を。
「モノづくりに期待されている変化を捉え収益力を高めていく当社のキーワードとして、(1)「ビルトイン(主機に組み込むキープロダクト)」、(2)「コネクテッド(デジタル技術で現場のプロダクトをその他の機器・設備・プラットフォームにつなぐ)」、(3)「リカーリング(アフターサービスなどの循環型事業)」を掲げる。ビルトインの機器のセンシングデータを蓄積し顧客設備とつなぐことで稼働状況、予兆分析まで提供し、お客さまとの関係をリカーリングに広げていく。これを当社の強みとして取り組みたい。日立の進化するインダストリアルソリューションに対し、お客様の期待はとても高いと肌で感じる。分社化はすべてのステークホルダーにとって、とてもポジティブであり、『日立インダストリアルプロダクツ』の存在感をグローバルで高めていきたい」
日立インダストリアルプロダクツ ホームページ>
機動力、経営効率を高める
ー売上高1,500億円、従業員5,200名規模とのことですが、分社化の狙いは。
「デジタル時代のニーズにあった強い製品を出し続けるため、機動力、経営効率を高めていくことが狙い。日立グループでは2018中計(2016ー2018年度)で2018年度調整後営業利益率8%をめざしており、次はさらにその上を狙うことになる。当社はモノづくりの会社として工場設備を有することから調整後営業利益率は日立グループの中では低いポジションにあるが、それに甘んじてはいけないという問題意識を持っている。その先の成長をめざしたい、という思いが分社化を決めた根本にある。一方で、独立会社になることに社員はいろいろな思いがあるだろうことは承知している。夢を実現するために新会社でスピーディな経営・投資判断を行い、私の思いを社員と共有していく」
ー次の3カ年は収益性だけでなく、売り上げにもこだわりますか。
「売り上げのトップラインは重要であり、投資を強化し、強いところを伸ばしていく。電機品は日立の鉄道部門向けの電車用モーターなど、縁の下の力持ちである強い『ビルトイン』製品を持っている。さらに、市場での電動化への期待は高く、シェールガスの掘削市場がその一例で、ディーゼルエンジン駆動の水圧破砕ポンプ用の電動ドライブ実証機を昨年11月に米国企業に納入したところ、年明けには複数台の実機採用が決まった。今後、高圧市場でも電動化の需要は高まるとみており、市場の変化に合わせて柔軟に対応することで売上を伸ばしていく」
ーポンプなどの機械系はコモディティー(汎用)化のリスクが高いと思うのですが。
「コモディティーであればこそセンサーを付ければ広く普及した『コネクテッド』な製品になり、予兆診断などのソリューションビジネスになる。イノベーションが進む物流市場向けのソリューションとして、当社は小型無人搬送ロボット『Racrew(ラックル)』を提供しており次の3年間で同製品の売上規模を倍以上にする考えだが、競争環境も激しくなる。お客さまの側では物流センターの高度化、24時間無人稼働が実現すると、さまざまなリスクが想定される。当社は、お客さまの安全・安心な運用の実現に向けた製品品質を確保するとともに、倉庫内を走り回るラックルが蓄積したデータを分析し最適な棚の位置や倉庫のレイアウトなども提案し、さらなる業務の効率化を支援する。このようなデジタルソリューションでお客さまの課題を一緒に解決する“日立らしさ”を全面に打ち出す」
「ビルトイン」「コネクテッド」「リカーリング」
ーソリューションビジネスになると、日立グループのデジタルイノベーションを加速させるLumada(ルマーダ)ソリューションを提供する部門との連携が重要になります。
「ポンプや圧縮機の生産拠点である当社の土浦事業所にLumadaソリューションを導入し、リードタイムを大幅に短縮した。土浦で生産管理改革を経験した現場の人財が、Lumada部隊と一緒にお客さまに提案することでより説得力が増すと考える。当社や量産系の産業機器を手がける日立産機システムが担うプロダクト部門を持つ日立に対して、デジタル化の成功事例などを参考にして、生産設備から経営管理、メンテナンスまでを含めたバリューチェーン全体での価値創出について一緒に考えて欲しい、というお客さまのニーズは多い」
ー現在、海外売上高比率は20%強です。生産体制を含めグローバル展開の方針は。
「これからの10年間でモノづくりは大きく変わる。既に工場の製造機能も3Dプリンターから大型機械加工装置まで広がりをみせており、海外での製造機能に対する考え方も変わってくる。コアとなる心臓部をどこで製作し、最終試験をどこで実施し製品に仕上げるのか、グローバルのサプライチェーン管理(SCM)を構築し強い製品を出していく」
ー最後に新会社の豊富を。
「モノづくりに期待されている変化を捉え収益力を高めていく当社のキーワードとして、(1)「ビルトイン(主機に組み込むキープロダクト)」、(2)「コネクテッド(デジタル技術で現場のプロダクトをその他の機器・設備・プラットフォームにつなぐ)」、(3)「リカーリング(アフターサービスなどの循環型事業)」を掲げる。ビルトインの機器のセンシングデータを蓄積し顧客設備とつなぐことで稼働状況、予兆分析まで提供し、お客さまとの関係をリカーリングに広げていく。これを当社の強みとして取り組みたい。日立の進化するインダストリアルソリューションに対し、お客様の期待はとても高いと肌で感じる。分社化はすべてのステークホルダーにとって、とてもポジティブであり、『日立インダストリアルプロダクツ』の存在感をグローバルで高めていきたい」
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