超音波治療はアルツハイマーに効くか

東北大が有効性治験を4月開始

経頭蓋超音波治療装置を使った治療イメージ(東北大提供)
 東北大学大学院医学系研究科の下川宏明教授、同大加齢医学研究所の荒井啓行教授らは、アルツハイマー型認知症の超音波を使った有効性治験を4月に開始する。これまでの治験で治療の安全性が確認されたため、認知機能の回復を調べて有効性を評価する。治療用超音波を発生させる医療機器の2021年の薬事承認を目指す。

 治療に使うのは断続的な音波「低出力パルス波超音波」(LIPUS)で、認知症を再現したマウスの脳に照射したところ認知機能低下を抑制する効果があった。脳の神経細胞に蓄積して認知症を引き起こすとされるたんぱく質「アミロイドβ」も減少させていた。

 下川教授らはこれまでに5例の患者にLIPUSを照射する治験を実施し、有害事象がなかったことを確認した。4月からの治験では、治療群20例、治療を行わない群20例の計40例の患者を対象に、有効性を確認する。3カ月ごとにLIPUSを照射する治療を18カ月間行い、認知機能などを評価する。

 アルツハイマー型認知症は世界で年間1000万人が発症しているとされる。治療薬の開発が試みられているが、化合物の分子量や性質により血液脳関門を通過できず、医薬品による治療が困難だった。LIPUSは物理的な刺激を細胞に与え、自己治癒力を活性化させる治療法として期待される。

日刊工業新聞2019年3月18日

関連する記事はこちら

特集