“スマート衣料”はさらに広がるか。東洋紡が新素材を開発

心電図や呼吸数の測定も想定。東レがNTTと共同開発した「hitoe」を追う

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「COCOMI」使用ウエアイメージ
 東洋紡は11日、自然な着心地を実現する生体情報計測ウエア用素材「COCOMI(心美)」を開発したと発表した。電極・配電材として使えるフィルム状素材で、薄く、伸縮性に優れている。まずスポーツウエア中心に展開を進め、2017年度に2億円の売り上げを目指す。

 導電性ペーストを弾性樹脂で挟みフィルム状にし、加工しやすくした。厚さは約0・3ミリメートルで着心地よく仕上げられる。伸縮性は100%以上で、皮膚より伸縮性が高い。

 同素材をウエアの肌側に付けて、心筋などの電気信号を電極でキャッチする。搭載した通信デバイスでスマートフォンなどに情報を送り、心拍数などを計測する仕組み。

 皮膚表面温度や発汗、加速度なども計測できる。スポーツ時の計測のほか、心拍数推移から眠気を検出し居眠り運転防止、リラックス度合いの検出といった用途も想定する。

先行した東レはNTTと組みアプリケーション広げる


日刊工業新聞2014年4月22日&2015年1月1日付


 人の体調管理にもIoTが利用される。生活習慣の見直しやスポーツのパフォーマンス向上などに、自身の生体情報を把握したいというニーズが出始めている。だが計測を継続するには「健康になりたい!」「やせたい!」など“強い意志”を持ち続けない限り、なかなか難しいものだ。そうした「弱い心」を支える頼もしい味方になりそうなのが、東レとNTTが開発した機能素材「hitoe」。着用するだけで心拍数・心電図などの生体情報が取得できる。職場、学校、スポーツなどさまざまなシーンで、ストレスなく計測が続けられるという。NTTドコモのスマートフォン向けアプリケーション(応用ソフト)と連動させることでクラウド上に計測したデータを蓄積でき、そのデータ分析を元にアドバイスが受けられる。 

近未来のIoTウエアはどのように使われるのか


 20XX年。会社員のA子さんはコンビニに入り、生体情報を通じ推奨された弁当を買って帰宅した―。「血圧を気にしているあなたにピッタリのお弁当はこれです」。身につけている生体情報計測機能付き衣料の生体情報をもとに分析された結果を店内のWiFi(ワイファイ)を通じスマートフォンで受信する。個人情報に配慮した上でIoT(モノのインターネット)の活用が広がれば近い将来、情報と機器、サービスを連携させ、こんな光景が流通の現場でみられるかもしれない。

 【コンビニ連動】
 東レはNTTと組んで生体情報を測定できる新素材「hitoe(ヒトエ)」を開発した。最先端繊維素材のナノファイバー生地に高導電性樹脂を特殊コーティング。衣服に加工して着用することで心電波形や心拍数、脳波などを測定し、生地につけた発信機から情報を発信する仕組みだ。

 東レは「日常生活を阻害せず、生体情報をリアルタイムに計測できるため健康管理に役立てたり、スポーツの際の情報取得に活用したりできる」としており、NTTドコモと連携したサービスも展開する計画だ。

 一部のコンビニではこうした生体情報に基づく商品開発や販売方法を研究している。将来はヒトエから取得された情報とインターネットに接続された機器がつながることで、小売店や外食店で最適な商品の推奨を受けられるようになる。さらに医療機関で基礎情報として活用したりすることも想定。IoTで流通業の高度なマーケティングが実現するかもしれない。

 【動態情報を管理】
 「御社のA店には、この地域のこの町からの来場者が多い。そこで、こういう販売促進をしたらどうでしょうか」―。現在、小売業では店舗への来店者がどこから来たのかという動態情報はカード情報などからしか割り出すことはできない。それも店舗でカードを使用しなければ分からない。

 そこで駐車場綜合研究所(PMO)は4月から「PMOパーキング・アナライザー」というサービスを始めた。例えばショッピングモールなどに来店する自動車のナンバープレートを駐車場に設置したカメラで常時収集し、町名、大字という住所の細部まで割り出す。

 自動車検査登録情報協会などから個人情報に触れない形で登録情報の利用許可を得て展開。「どの地域からの来店者が多いか、またどれくらいの時間、モールに滞在していたかなどといった情報を収集する」(木村直子営業統括本部エグゼクティブコンサルタント)。この精度の高い来店動向情報を商業ディベロッパーなどがマーケティングや販売促進に活用する。

 【流れを解析】
 本格的なIoT時代のとば口として生体情報のリアルタイムの収集や人が集まる場所などでの動態分析が緒についた。今後、こうしたビッグデータ(大量データ)がネットを介して他の機器とつながることで、さらに高度な情報として利用価値を持つようになる。

 これまで流通業界での人の流れやモノの流れの捕捉は人のカンや経験に依存してきた。IoTがその流れの解析精度を高め、効率的で効果的な商品やサービスの流通が確立する日はそう遠くはない。

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

身体に埋め込む「インプランタブル」に一番近いウエラブルは衣料か。

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