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五輪会場に決まった「幕張メッセ」 増設しなければ中小企業の死活問題に

開催期間短縮と展示場のスペース倍増。日本展示会協会が要望
五輪会場に決まった「幕張メッセ」 増設しなければ中小企業の死活問題に

幕張メッセ

 日本展示会協会(東京都千代田区、石積忠夫会長、03・3518・2640)が2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技会場に決まった幕張メッセについて、五輪競技での使用期間短縮や会場増設などを千葉県に要請している。同協会では「オリンピック期間中に毎年開催される展示会が中止になれば、(関係する)中小企業の最大の営業の場が失われ、倒産企業もでてくる」と説明。また、規模で東京ビッグサイトや海外の巨大展示場に劣る幕張メッセを、オリンピックを機に強化すべきだとしている。
 
 日本展示会協会が7月23日に千葉県の森田健作知事に提出した要望は二つ。一つは「幕張メッセの隣接地に(会場を)増設し2倍の規模にすること」、二つめが「増設と同時に幕張メッセがオリンピックに使用される期間を最短期間、かつ最小の面積に抑えること」。会場増設を求めるのは、これまで継続開催されてきた展示会が、オリンピックとその準備のため一定期間中止となれば、展示会を営業の場とする中小企業が営業機会を失い、倒産に追い込まれる可能性があるためとしている。

 また、ロンドンオリンピックでも展示会場が競技場として使用されたが、準備を含め2―3カ月程度に短縮され、中止となった展示会がなかったことなどを例に挙げ、東京五輪でも使用期間を最短に、使用面積を最小に抑えることを要請している。同協会では増設費用は簡便な会場であれば総額100億円程度で可能と試算。自治体に加え政府、経済団体などから出資を募れば「割合、簡単に費用を捻出できる」という。

 約8万平方メートルの展示面積のある東京ビッグサイトは20年の東京五輪までに新棟を建設し、展示面積を25%拡大することを決めている。幕張メッセの展示面積は約7万5000平方メートルとビッグサイトよりも小さい。

 海外の展示場、ドイツ・ハノーバーの47万平方メートルと比べると、さらに見劣りするし、中国や韓国の大型展示場と比べても小さい。同協会ではオリンピックを機にアジア有数の展示会都市、幕張を目指すべきだとしている。

 東京五輪をめぐっては当初計画していた会場が変更され、東京ビッグサイトで開催される予定だったレスリング、フェンシング、テコンドーがいずれも幕張メッセに変更された。
(文=森谷信雄)
日刊工業新聞2015年08月11日 建設・エネルギー・生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
日本の展示会場は海外に比べて規模も小さく、絶対数が足りないといわれています。東京ビッグサイトが国内では最大ですが、それでも欧米、中国などに比べると規模は見劣りします。 メッセ増設が実現すればインバウンドに絡め展示会ビジネスの拡大を図る良い好機ではないでしょうか。

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