投資冷え込む太陽光発電市場、再び光あてる「金融手法」の仕組み

証券化で「ESG」呼び込む

 カナダ太陽電池メーカーのカナディアン・ソーラーは、日本で建設した大規模太陽光発電所(メガソーラー)の売電収入を得る権利を金融手法を使って売却した。同社は売却で得た資金を次のメガソーラーの建設費に充てる。今回の手法はESG(環境・社会・企業統治)投資として分かりやすく、機関投資家も購入しやすい。売電価格の低下などで投資意欲が冷え込んだ国内の太陽光発電市場を再活性化する手段として期待される。

 今回の金融手法は、カナディアン・ソーラーが山口県(出力2万キロワット)と青森県(同1万キロワット)にそれぞれ建設したメガソーラーが対象となった。2基合計の売却額は63億円、購入者は日韓の著名な機関投資家という。

 もともとメガソーラーは不動産のように売買できる。売り手は建設資金を早期回収でき、買い手はメガソーラーの売電収入を得られる。固定価格買い取り制度(FIT)によって売電価格が保証されているので、買い手にもリスクが少ない。

 今回、カナディアン・ソーラーはメガソーラー事業への出資金を売電収入を得る権利「信託受益権」として証券化した。不動産業では、家賃収入を得る権利を信託受益権として販売することがある。家賃収入を20年分の売電収入に置き換えたのが今回の手法だ。

 証券を購入した機関投資家は、売電収入から安定配当を得られる。将来の価値上昇を見込み、購入額よりも多くの配当が得られるのでメリットが多い。

 スキームを構築したカナディアン・ソーラー・プロジェクト(東京都新宿区)の水上彰氏は「発電所の開発者にとっても投資費用をまとめて回収し、資金を次の投資に使える」と利点を強調する。FITの売電価格が下がり、国内では太陽光発電への投資が滞っている。今回の手法だと資金回収が早く、次の投資意欲が沸きやすい。

 また同社のクリストファー・リーディレクターは「機関投資家にも新しい仕組み」と話す。再生可能エネルギー事業から配当するので、機関投資家にESG投資の機会を提供できる。実際、売却した証券は日本格付研究所によってESG投資の最上位「グリーン1」に格付けされた。金融界で潮流となっているESG投資を呼び込む金融手法の活用が、今後の太陽光発電の普及に一役買いそうだ。

日刊工業新聞2019年2月21日

松木 喬

松木 喬
02月28日
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先日の太陽光発電協会の発表によると国内市場で海外企業のシェア48%と、国内企業と均衡しています。技術革新が進む外資の太陽電池メーカーはビジネスに金融手法も活用しています。シェア、技術力、ビジネスモデルとも海外勢の独壇場になるのでしょうか?

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