太陽光は売電より自家消費の方がお得!?

FIT依存からの脱却へ模索始める

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自家消費の提案があった太陽光発電の展示会
 「発電した電力を売電せずに自ら使う自家消費がお得です」。7月末に東京都内で開かれた太陽光発電専門の展示会で、こんな提案があった。再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)を使って発電した電力は、電力会社に売電した方が経済的メリットがあるはず。まだまだ少数だが”太陽光バブル“後を見据え、自家消費の提案が始まった。

 「FITで9年かかる投資回収が自家消費なら8年で済む」。東芝ブースで説明員が熱弁を振るっていた。FITの買い取り価格(売電価格)は20年間同じ。投資回収だけでなく利益も見込める。それなのになぜ、自家消費が優位なのか。

 東芝のパンフレットに出力100キロワットの太陽光発電システムでの経済性の比較がある。FIT活用だと売電収入は年284万円。自家消費は発電した分だけ電力購入が減るため、年206万円の電力料金が浮く。ここまでだとFITが有利。

 投資回収に差を生むのが補助金の存在だ。自家消費型設備は経済産業省の補助金で導入費の3分の1を賄える。FITの設備に国の補助金はなく、自家消費の方が初期費用を抑えられて投資回収が早い。

 三菱電機は工場屋根を活用した自家消費を提案していた。「太陽光の発電と、工場で多くの電力が使われる時間帯が重なるため節約効果が大きい」(説明員)と力説する。

 買い取り価格の低下で発電事業者は採算を見通しにくくなり「新規発電所の建設が減った」(太陽光パネルメーカー)。今後も買い取り価格は下がるため、業界は”FIT依存“からの脱却が求められている。早く自家消費の提案を始めた企業ほど太陽光バブル後に生き残れそうだ。
 (文=松木喬)

日刊工業新聞2015年08月10日 3面

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

太陽光パネルメーカーをはじめ関連事業者は固定価格買い取り制度の恩恵を受けて急成長しました。その業界関係者が制度に依存しない自家消費の提案を始めました。買い取り価格の低下、電力料金の上昇、パネル価格の下落など、自家消費でもメリットがある環境へと変わりつつあるようです。ドイツはすでに自家消費を推奨する制度へ移行しました。「太陽光の市場は制度によって作られた」という声をよく聞きます。制度に依存したブームに終わらせず、確実に普及させるために自家消費が求められます。

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