製造技術の限界超えた!金属加工のエキスパートが磨き上げた積層造形ソリューション

 最新の積層造形ソリューションが、円筒形のボールジョイントを画期的形状に変えた。回転性など必要な機能や強度はそのままに、重量を3分の1に削減。製造時間の大幅な短縮もできた。

 これは金属技研が本格化した金属積層技術による受託製造事業の成果。既存の製造技術の限界を超えて、軽量化や部品一体化、高付加価値化した金属部品を製造する。積層造形に関して、製造前の設計から製造、加工、品質検査にいたる全工程を一貫して手がける同社だけが提供できるトータルソリューションが、独自の高付加価値部品を生み出している。

積層造形のトータルソリューションが可能な理由


 金属技研は熱処理技術を中核に、ろう付けや溶接、成形、機械加工までの技術を総合して持つ金属加工のエキスパート。中でも高温・高圧による加圧加工で焼結材や鋳造品の内部欠陥除去や同・異種材料を拡散接合するHIP(熱間等方圧)の技術では、航空機関連や半導体分野など高水準の品質が求められる領域で実績を上げてきた。

 そうした同社が新たに注目し、技術蓄積を進めたのが積層造形技術。電子ビームやファイバーレーザーで金属粉末を溶解し、凝固させて金属部品を製作する。複雑形状や高強度金属などの製造を可能にし、緻密な3D形状を造形する。特殊工程・加工技術を網羅する同社が、最先端の造形技術を取り込みトータルソリューションを提供している。

 まず造形前にユーザーが部品に望む特性や機能に応じた最適形状や、積層造形でしか実現できない形状を提案。シミュレーションでそれらを検証する。使用する金属粉末も、粒度分布や動的流動性、混合履歴などまで徹底管理。これらは量産時の再現性、特性均一性に大きく影響する。

 積層造形後も必要な熱処理や、HIP処理による内部欠陥除去も施せる。さらに内部粉末除去やサポート除去、仕上げ機械加工も同社の得意分野だ。こうして作り上げた部品の寸法確認や内部欠陥確認、リーク検査、耐圧試験といった品質検査も長らく手がけている。

 これまで積層造形での製造を検討した企業は「積層造形」「熱処理・HIP処理」「機械加工・仕上げ」「品質検査」の各工程をそれぞれ異なる企業に依頼するケースが多く、そのためトラブル解消や品質向上が進まないケースが多かった。しかし、金属技研は「事前形状検証」「粉末管理」まで含めて全工程の一貫体制を持つ。積層造形での製造を目指す企業は、金属技研との協業によりワンストップで全工程のソリューションを得られる。また、各工程からのフィードバックにより、トラブル解消や部品の品質向上も迅速に進められる。

ニーズの高まりを実感


金属積層造形で成形した大型バルブ

 金属技研では金属積層造形事業の本格化に合わせ、1月下旬から2月初旬にかけ「TCT JAPAN」「次世代3Dプリンタ展」と積層造形に関する展示会に出展。金属積層造形による高付加価値部品サンプルをお披露目した。軽量化の代表例として展示したのがボールジョイント。既存品は7個の部品を機械加工し、溶接、ボルト締結していた。これをトポロジー最適化、ラティス構造採用などで全く異なる形状の部品を提案。部品1個を造形し、応力除去とワイヤーカットで済む。製品重量は3分の1となった。

 積層造形による高付加価値化のモデルケースとして展示したのが一体型熱交換器。多くの流路を確保するため機械加工した複数部品を溶接やろう付けで組み立てたもの。積層造形で複雑な流路を内部に持つ構造体を一体成形。工期短縮を実現した。

 さらに、積層造形と粉末HIP焼結の両プロセスを併用した冷却回路付構造物のサンプルも紹介した。プラスαの高付加価値工程として他部品接合、HIP拡散接合、表面修飾、ハイブリッド造形なども提供できることを訴求した。

 金属技研の展示ブースは連日、見学者が押し寄せ、賑わった。積層造形による高付加価値部品を手に取り、その品質の高さや実用性に興味を寄せていた。説明担当者への質問も相次いだ。

 同社の展示ブースの賑わいは、設計・製造の現場における積層造形の本格導入ニーズの高まりを表している。新しい機能や性能を持つ部品の実現には既存の製造手法ではない革新的なソリューションが必要になっているためだ。

 金属技研はすでに神奈川工場に、電子ビーム型2機、ファイバーレーザー型2機の計4機の金属積層造形装置を設置。航空宇宙産業における国際的品質マネジメント認証であるJIS Q 9100も取得し、画期的な高付加価値部品を求める企業の要求に応える品質保証体制を整えている。
          

  

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