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“生きた健康データ”の先にある医療の進歩

テルモ、女性体温計とアプリ連携
“生きた健康データ”の先にある医療の進歩

富士通は「高齢者ケアクラウド」を立ち上げ、医療・介護関係者向けサービスを提供

 テルモ 女性体温計とスマートフォン向け基礎体温記録アプリケーションのデータ連携を始めた。テルモの女性体温計「ウーマンドシーW525DZ」をスマートフォンにタッチするだけで、エムティーアイが運営するアプリ「ルナルナ体温ノート」にデータが転送される。検温データは自動でグラフ化され、毎日の基礎体温値の記録や管理、確認がしやすくなる。女性体温計の消費税込みの価格は7714円。アプリは無料で利用できる。
 (2015年8月6日付)

ICT各社、“課題先進国・日本”に狙い。IBMとアップルが日本郵政と組む


 日本郵政グループは情報通信技術(ICT)を活用する高齢者向けサービスの提供に向けて、米IBM、米アップルと手を組んだ。アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」の使い勝手のよさと、IBMが得意とする分析・開発力を活用するのが狙い。モバイル端末と連動した健康情報管理や介護支援などのサービスは国内外で実用化されつつあるが、今回は顧客基盤が桁外れに大きく、しかもビッグネーム3社の協力が注目の的。そこで培われるノウハウは国内はもとより、アジアをはじめ海外展開も期待できそうだ。

 第1弾として、日本郵政グループの「みまもりサービス」と連携して、2015年下期(7―12月)から実証実験を始める。これを手始めにサービスを段階的に拡張し、20年には日本郵政グループが持つ400万―500万人におよぶ膨大な数の高齢者の顧客基盤への展開を見据えている。

 IBM、アップルにとって、日本郵政グループと手を組むことの意義は大きい。わが国は4人に1人が65歳以上の高齢者という状況下で介護や一人住まいのケアなどの難問が山積しており、日本郵政グループのネットワークを通じて、全国津々浦々の高齢者にアプローチできるためだ。IBMやアップルに限らず、外資系ICT各社は“課題先進国”である日本のニーズを掘り起こすことで、新たなビジネスを生み出そうとしている。

 iPad対応の高齢者向けアプリケーション(応用ソフト)では薬を飲む時間を知らせたり、食料などの買い物を支援したりと、日々の生活を手助けする便利なサービスをわずかな料金で月額利用できるようにする予定。利用ログ(履歴)の分析により、個々の生活パターンに合わせて最適な時間に訪問するなど、きめ細かなサービスも可能。ビッグデータ(大量データ)の分析によって、全体傾向をとらえたり、最適なサービスを先回して推奨したりもできる。

 IBMは日本語の話し言葉の意味を理解する「自然言語解析」技術や、ハンディキャップを持つ人でもITを使いこなせる「アクセシビリティー」技術などでも実績を持ち、高齢者でもiPadを使いこなせるような取り組みが注目される。

 一方、国内ではICT各社による健康支援サービスの提供が相次いでいる。富士通は医療法人「鉄祐会 祐ホームクリニック」の武藤真祐理事長の協力を得て「高齢者ケアクラウド」を立ち上げ、医療・介護関係者向けサービスを提供している。IBM―アップル連合の参戦により、こうしたサービス競争に拍車がかかる見通し。世界に類のない超高齢社会ニッポンが抱える難問を解くことで、ICT活用の可能性や新産業創出への期待が高まりそうだ。
(2015年5月8日付)

Googleは「インプランタブル」からサイボーグを目指す?


 
元グーグル副社長・村上憲郎氏から見た「Googleが考える近未来」(2015年6月26日公開)から抜粋

 スマートメガネは発表以来、具体的な販売というところで手こずり、その間隙を縫うようにして、スマートウォッチというウエアラブルのほうが出てきた。形状としては腕時計型のデバイスだが、小ぶりのスマホが腕時計のように腕に巻かれているようなもので、アイフォーンやアンドロイド端末をカムテープで巻きつければスマートウォッチだともいえる。そうでないところがあるとすると、肌に密着していること。いわゆるヴァイタルシグナル、生体信号、体温、血圧、脈拍なおがクラウド側で取得可能になったというところが重要なポイントだ。

山口豪志
山口豪志 Yamaguchi Goushi Protostar Hong Kong 董事長
こういう医療デバイスとヘルスケアアプリとの融合による新しいサービスは将来性があり、期待されている。健康は日々の積み重ねなので、どの様な症状が発生するか、細かな生活者のデータが集まる社会は次の世代に大きな医療の進歩をもたらしてくれるに違いない。

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