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“侍”はイスラエルで旋風を巻き起こせるか

サムライインキュベートが日本の大手企業を対象に「アクセラレータプログラム」開始
“侍”はイスラエルで旋風を巻き起こせるか

サムライインキュベートのチーム。中央が榊原健太郎CEO(ホームページより)

 サムライインキュベート(東京都品川区)は、イスラエルで「アクセラレータプログラム」の対象となる日本企業を募集する。スタートアップ支援活動で得た現地起業家たちとのネットワークやノウハウを活かし、日本の大手企業がイスラエルの先端技術を活用したイノベーションやM&Aを支援する。

 「アクセラレータプログラム」は大企業の豊富な資源を活かし、創業期のイスラエル企業を短期間で成長させるのことが目的。海外企業ではすでに米グーグル、マイクロソフト、IBM、シティバンクなどのほか、アジアからも韓国サムスン電子などが独自のプログラムを実施している。

 イスラエルでは年間800社ほどのスタートアップが生まれ、アップルやフェイスブックなど大手テクノロジー企業が資本・業務提携を通して、スタートアップを取り込んでいる。サムライインキュベートでは日本からの進出をバックアップいていく。

 同社は2014年にテルアビブ市内にインキュベーション拠点を開設、スタートアップのエコシステムを提供。日本の大手企業はそれを活用することで、事業化への時間やコストを大幅に減らすことができる。2015年は2社をめどにプログラムを開始す予定。

日本のVB経営者が注目するイスラエル


ニュースイッチ2015年4月26日公開


 スタートアップイベントの「第11回サムライベンチャーサミット」が25日、東京・JR品川駅近くの日本マイクロソフトで開かれた。うち「イスラエルに来訪した”未来”を見据えた経営者たち」のセッションには、サムライインキュベート創業者兼CEOでイスラエル進出を果たした榊原健太郎さんがモデレーターとして登場。SHIFT社長の丹下大さん、LINE前社長でC Channel代表取締役の森川亮さん、Capy共同創業者兼CTOの島田幸輝さんという、イスラエルを訪れたことのある著名ベンチャー経営者とともに、ハイテクスタートアップを輩出する「スタートアップ・ネイション=イスラエル」を語った。

 【イスラエルの印象】
 まず、イスラム諸国やパレスチナとの関係から日本人の間では「危険なところなのでは」と思われているイスラエルの印象について。丹下さんは昨年12月に現地を訪れてみて、怖いという感じは特に持たなかったという。森川さんも、そうした厳しい環境にあるからこそ「特定のエリアは安全」と話す。「逆にイスラエル人は『いつ地震が起こるかわからない日本が一番怖い』と言っている」ともいう。

 一方で、テルアビブでサムライインキュベートが事務所を構える場所は、ビーチにも近いリゾート地。榊原さんによれば「表参道や六本木のようにおしゃれな街。コワーキングスペースの前にはマドンナが別荘を持っている」のだとか。島田さんも「夏は最高」と太鼓判を押す。

 イスラエル企業の技術レベルの高さも定評のあるところ。丹下さんはもともと、20数年前に日本で初めて3Dプリンターの事業を立ち上げた「インクス」という会社に勤務していて、3DCADも自前で作っていた。それだけに設計・製造に使うコンピューターシステムのCAD/CAMには詳しいが、「CAMのナンバーワンはイスラエル」と断言する。

 圧倒的な数学の知識をもとに優れたソフトウエアを作るのがイスラエル流。さらに、逆境も発明の母となっている。榊原さんは「砂漠なので食べ物を輸入していると思われるが、イスラエルには海水淡水化の技術がある。国内で使用する水の60%は海水を淡水化して作っている」と説明する。

 【軍隊からスタートアップ輩出】
 イスラエルではセキュリティーソフトなど軍事発のイノベーションが有名。それどころか、軍隊がスタートアップの起業につながっているのが独特だ。こうした実情について、森川さんは「男性も女性も軍隊に入り、国民全てがソフトウエアエンジニア。しかも軍隊の特許を無料で使え、ベンチャーも起こしていい。国民全てがR&Dチームみたいなもの。国土が砂漠なので課題を克服しようという意志が強く、イノベーションが生み出されやすい」と話す。

 【徹底したプログラミング教育】
 こうした卓越したIT人材を支えるのが、小さい頃からの徹底したプログラミング教育だ。島田さんによれば、「イスラエルの学校では10歳から英語とプログラムの授業が始まり、プログラムは15歳まで義務教育として教えられる。高校では選択科目。その過程で優秀な人材は特別に養成され、3年とか5年、場合によっては10年とか勤めあげ、同窓生などとスタートアップを作ったりする。

 さらにそうしたビジネスでの経験をまた軍に持っていくことで、好循環が築かれる」という。小学校のプログラム教育はC++だが、軍隊でのソフト開発に使われるのは「パイソン」と実践的だ。「こうしたソフト人材養成の仕組みは、日本も取り入れた方がいい」と榊原さんも強調する。

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明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
シリコンバレーに駐在する日本の大手企業の社員は、現地のインナーサークルにまったく入っていけてない。投資などの権限もなく、ベンチャーやVCなどからは相手にされていない。サムライのようなネットワークをまず活用し、人脈を広げていくのも一つの手だろう。

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