アップル・ショックの影響は…下方修正相次ぐ電子部品各社の今後

車載戦略が明暗分けるか

 米中貿易摩擦による中国経済の減速などを受け、電子部品大手5社のうち、村田製作所を除く4社が2019年3月期連結業績予想を下方修正した。18年10―12月期にスマートフォンや車載向け製品の需要が伸び悩んだことが主因。ただ車載向けでも各社の扱う製品ごとに事業見通しに差が出ている。成長を維持するため、スマホ向けから車載向けの比重を高める動きが必至の中、今後は各社の車載事業の戦略の違いが鮮明になりそうだ。

 米中貿易摩擦を受け、1月に入りいち早く業績予想の下方修正を発表したのは日本電産。永守重信会長は「18年11月、12月と、ガタンガタンと受注ベース、売り上げ、出荷ベースで全セグメントに大きな変化が起きた」と振り返る。

 TDKも下方修正したが、受動部品事業のうち、18年4―12月期の自動車向け売上高は前年同期比約12%増の1273億円と伸びた。車載向けは製品別、用途別に温度差もある。日本電産は車載向けでも「電気自動車(EV)向けは(生産数量の減少といった)影響は受けていない」(吉本浩之社長)という。

 積層セラミックコンデンサー(MLCC)も車の電装化やADAS(先進運転支援システム)の広がりで需要が伸びる。他の電子部品が落ち込みを見せる中、MLCCの19年1―3月期の見通しは「車載分野については大きな変動はない」とTDKの山西哲司代表取締役常務執行役員は話す。京セラもスマホ向けの受注が18年末に急落したことなどが響いたが、「車載向けは落ちていない」(谷本秀夫社長)。ADAS関連の需要は順調に推移しているという。

 村田製作所は大手の中で唯一、業績予想を据え置いた。理由の一つとして主力のMLCCを筆頭に「車載向けの需要が堅調」(竹村善人取締役)だからだ。主戦場となりつつある車載向け市場。自社製品という“手札”をどう差配していくのか。その経営判断が各社の成長力の差となりそうだ。

 


ソニー、イメージセンサーの販売減


 ソニーは金融分野での特別勘定の運用損益悪化などを受け、2019年3月期連結業績予想(米国会計基準)の売上高を18年10月公表値比2・3%減の8兆5000億円に引き下げた。営業利益は8700億円で据え置いた。生命保険のほか、スマートフォン関連の失速を背景に半導体分野も減速した。

 モバイル機器関連では半導体イメージセンサーの販売数が減少したほか、日本や欧州、東アジアではスマホ販売台数が減少した。

 18年4―12月期連結決算の売上高は前年同期比0・8%減の6兆5381億円、営業利益は同13・9%増の8115億円だった。十時裕樹専務最高財務責任者(CFO)は「スマホの厳しい市況は今後も続くと思うが、カメラの多眼化などに伴いイメージセンサーの需要は伸びていくだろう」と今後の期待感を語った。

 

日刊工業新聞2019年2月4日掲載

梶原 洵子

梶原 洵子
02月05日
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アップルに加え、ファーウェイ締め出しの動きも日本の電子部品メーカーには大きな打撃。海外では、TSMCや鴻海精密工業もiPhone減産の影響を受けています。スマートフォン市場で、あまり新機軸を出せなくなったアップルは存在感が薄まったと言及されてきましたが、あらためて影響力の大きさが浮き彫りになりました。

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