熱電変換性能、180倍の材料で何ができる?

豊田工大など開発

 豊田工業大学大学院工学研究科の竹内恒博教授と住友電気工業などは、熱電変換性能を大幅に高めた熱電材料を開発した。銅とセレンを原材料に温度勾配の加え方を改良し、エネルギー変換効率を示す無次元性能指数を既存材料の180倍の470に高めた。センサーなどへの応用が見込めるほか、高性能の温度帯を広げれば熱電発電素子などにも活用できる。

 新開発の材料は、銅とセレンの膜状化合物において、電圧を発生させる方向とそれに直交する方向の2方向で温度勾配を加えた。この温度勾配により、原子や電子の並びやエネルギー分布が変わって電圧が上がりやすい低温の結晶相と、電気抵抗の小さい高温の結晶相が共存する。電圧が上がりやすく、かつ電気が流れやすい構造ができ、二つの結晶相間でイオンや電子がやりとりされ、高性能化につながった。

 銅とセレンの化合物は電圧が上がりやすいが、ほかの材料では上がりにくい。ただ従来の温度勾配は電圧の発生方向にしか加えておらず、電気が流れやすい低温結晶相が高温結晶相と共存するのが難しかった。2方向に温度勾配を加えることで高温と低温の結晶相が共存する構造の材料ができた。

 実用化に向けては高性能の温度帯の拡大と、材料上部からの熱損失阻止が課題になる。現在は材料表面の温度が80度C前後の狭い範囲で高性能を示す。このままでもセンサーや微小温度差発電への応用は可能だが、活用分野を広げるために高性能の温度帯を拡大する。熱損失はエネルギー変換効率低下につながる恐れがあり、防ぐ手段を講じる方針。

日刊工業新聞2019年1月30日

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。