アップルとテスラは再び接近するのか?
メガITを巡る「新しい自動車」の戦いますます過熱
米グーグルが乗用車の製造を目的とした子会社を4年前に設立していたことが明らかになった。一方で、電気自動車(EV)をめぐるアップルとBMWの提携交渉が行き詰まり、結論の出ないまま協議が終了したと先日報じられたばかり。ただアップルが引き続き自動車分野に強い関心があることも分かった。そこで注目されるのがテスラ・モーターズとの関係だ。
2年間ぐらい前からアップルのティム・クック最高経営経営者(CEO)とテスラのイーロン・マスクCEOはかなり突っ込んだ意見交換をしていると言われている。
今年3月のアップルの株主総会では、テスラの買収方針を質問され、クックCEOは「うまく回答を避けないとね」とはぐらかした。EVを独自開発したいアップル。市場はアップルのテスラ買収を期待する一方で、今や世界一の起業家といわれるテスラのマスクCEOのイノベーション力に注目する。
米アップルが電気自動車(EV)の米テスラ・モーターズの買収に関心を示していると米紙が報じた。イノベーションの停滞に陥るアップルが、成長市場の自動車分野への進出を狙ったものではないか、という見方もある。しかしシリコンバレーでは、もっと壮大なシナリオを期待する声も出始めている。
「スマートフォンやタブレット端末では不可能な長期の収益拡大が見込めるだろう」―。この1年、アップルに圧力をかけ続けてきた投資銀行のアナリストたちは、テスラを買収すれば、成長モデルは劇的に変化すると予測する。
米グーグルが自動運転車の開発に力を入れるなど、米IT業界における次のプラットフォーム競争の主戦場が「スマートカー(賢いクルマ)」にあるのは明らか。アップルも昨年、運転席の計器へ「iOS(携帯機器向け基本ソフト)」の統合計画を発表。またイタリア・フェラーリと提携し、音声アシスタント機能の車載展開も始めた。
ある国内IT企業の幹部は「膨大な資金とソフト資産を持つアップルやグーグルが電気自動車を手中にする意味を、日本の経営者や役所はどれだけ理解しているのか不安だ。いろいろな産業でゲームチェンジが起こる」と指摘する。
昨年、クパチーノにあるアップル本社で、アップルのティム・クック最高経営経営者(CEO)とテスラのイーロン・マスクCEOが会談したことは間違いなさそうだ。
マスク氏はもともと会社を売却する意向はないといわれ、テスラが米国で計画中といわれる世界最大のリチウムイオン電池工場に、アップルが参画するという観測もある。マスク氏は、今やスティーブ・ジョブズを超えると言われる天才起業家と評される。ロケット会社「スペースX」を立ち上げ、民間初の宇宙ロケットで国際宇宙ステーションの接続に成功。自動車や宇宙など参入障壁が高い産業に風穴を開け、昨年には米フォーチュン誌の「最優秀ビジネスパーソン」に選ばれた。
起業家としてわが道を突き進むマスク氏にとってアップルはそれほど魅力的な存在ではないかもしれない。しかし、話し合いの場を持ったということは、何か前向きな提携が実現しても不思議ではない。自動車分野の技術開発でグーグルに遅れをとっているアップルにとっても、新しいイノベーションの象徴になる。
「誰もクックCEOのマネジメントに満足していない」(米投資銀行アナリスト)―。そしてアップルとテスラの接近で最も過激なストーリーが、クック氏に代わってマスク氏がアップルのCEOに就くこと。
「もし実現したらジョブズがアップルに復帰した以上の衝撃。今アップルに一番足りないワクワク感が戻ってくる」(前出の国内IT企業幹部)。単なる夢物語で終わらないのが、大変革を好むシリコンバレー特有のダイナミズムだ。
2年間ぐらい前からアップルのティム・クック最高経営経営者(CEO)とテスラのイーロン・マスクCEOはかなり突っ込んだ意見交換をしていると言われている。
今年3月のアップルの株主総会では、テスラの買収方針を質問され、クックCEOは「うまく回答を避けないとね」とはぐらかした。EVを独自開発したいアップル。市場はアップルのテスラ買収を期待する一方で、今や世界一の起業家といわれるテスラのマスクCEOのイノベーション力に注目する。
「イーロン・マスクがアップルCEOに」-それがシリコンバレーのダイナミズム
日刊工業新聞2014年2月24日付
米アップルが電気自動車(EV)の米テスラ・モーターズの買収に関心を示していると米紙が報じた。イノベーションの停滞に陥るアップルが、成長市場の自動車分野への進出を狙ったものではないか、という見方もある。しかしシリコンバレーでは、もっと壮大なシナリオを期待する声も出始めている。
「スマートフォンやタブレット端末では不可能な長期の収益拡大が見込めるだろう」―。この1年、アップルに圧力をかけ続けてきた投資銀行のアナリストたちは、テスラを買収すれば、成長モデルは劇的に変化すると予測する。
米グーグルが自動運転車の開発に力を入れるなど、米IT業界における次のプラットフォーム競争の主戦場が「スマートカー(賢いクルマ)」にあるのは明らか。アップルも昨年、運転席の計器へ「iOS(携帯機器向け基本ソフト)」の統合計画を発表。またイタリア・フェラーリと提携し、音声アシスタント機能の車載展開も始めた。
ある国内IT企業の幹部は「膨大な資金とソフト資産を持つアップルやグーグルが電気自動車を手中にする意味を、日本の経営者や役所はどれだけ理解しているのか不安だ。いろいろな産業でゲームチェンジが起こる」と指摘する。
昨年、クパチーノにあるアップル本社で、アップルのティム・クック最高経営経営者(CEO)とテスラのイーロン・マスクCEOが会談したことは間違いなさそうだ。
マスク氏はもともと会社を売却する意向はないといわれ、テスラが米国で計画中といわれる世界最大のリチウムイオン電池工場に、アップルが参画するという観測もある。マスク氏は、今やスティーブ・ジョブズを超えると言われる天才起業家と評される。ロケット会社「スペースX」を立ち上げ、民間初の宇宙ロケットで国際宇宙ステーションの接続に成功。自動車や宇宙など参入障壁が高い産業に風穴を開け、昨年には米フォーチュン誌の「最優秀ビジネスパーソン」に選ばれた。
起業家としてわが道を突き進むマスク氏にとってアップルはそれほど魅力的な存在ではないかもしれない。しかし、話し合いの場を持ったということは、何か前向きな提携が実現しても不思議ではない。自動車分野の技術開発でグーグルに遅れをとっているアップルにとっても、新しいイノベーションの象徴になる。
「誰もクックCEOのマネジメントに満足していない」(米投資銀行アナリスト)―。そしてアップルとテスラの接近で最も過激なストーリーが、クック氏に代わってマスク氏がアップルのCEOに就くこと。
「もし実現したらジョブズがアップルに復帰した以上の衝撃。今アップルに一番足りないワクワク感が戻ってくる」(前出の国内IT企業幹部)。単なる夢物語で終わらないのが、大変革を好むシリコンバレー特有のダイナミズムだ。
日刊工業新聞2014年02月24日 電機・電子部品・情報・通信面の記事に加筆