新幹線半世紀、北陸・北海道開業の先に見据える海外

最新車両「700A」

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東京駅に入線する北陸新幹線
 北陸新幹線の長野―金沢間における延伸開業、東海道新幹線の最高速度時速270キロメートルから285キロメートルへの向上など、日本の高速鉄道のネットワークがさらに進化した。北陸新幹線は北陸と首都圏を2時間半で結び、観光や経済の活性化に期待が高まっている。JR東海は技術開発力を結集し、東海道新幹線で23年ぶりに最高速度を向上。日本の高速鉄道が市場と技術で新たな未来を切り拓いている。
 
 【北陸/延伸開業で産業集積】
 北陸新幹線の沿線では新幹線開業が呼び水となり、すでに産業集積が進みつつある。ジャパンディスプレイは石川県白山市に新工場を設立し、2016年にも稼働する。YKKグループは創業の地である富山県黒部市に本社機能の一部を移す。14年度末までに東京から230人を異動させる計画だ。東京と首都圏の距離が近くなり、今後さらに北陸地方への企業立地が増えるとみられる。

  観光面ではJR東日本とJR西日本が周辺の観光地と北陸新幹線の駅を結ぶ観光バスの運行を強化するなど、北陸新幹線を軸に信州、中部、北陸を結ぶ新たな広域観光周遊ルートの整備を進めている。
 新幹線の開業効果で、首都圏と北陸の流動人口が従来の年間350万人から約2倍に拡大すると見込まれており、観光業界では北陸ブームに期待が集まる。
 
 【東海道/最新車両で速度向上】
 東海道新幹線は最新車両「N700A」の開発が速度向上につながった。JR東海の巣山芳樹新幹線鉄道事業本部長はN700Aの技術開発のポイントとして、「速く走るということは、それだけ強いブレーキが必要」と話す。N700Aでは新たに「中央締結ブレーキディスク」を搭載し、ブレーキ力をN700系に比べ、15%向上させた。

 東海道新幹線では07年に運行を始めたN700系から、曲線において空気バネで車両の外側を上昇させて車体を1度傾ける「車体傾斜装置」を導入。N700Aは空気バネに供給する空気量を増やすために空気タンクを増設し、従来よりゆるい曲線でも速度を上げられるようになった。古屋政嗣車両課長は「タンクの増設で部品が増えたが、部品の動作回数と劣化状況の評価を進め、保守の回数を減らした」と、保守と一体で開発を進めて故障率を低減した。

 JR東日本やJR東海は高速鉄道の海外への売り込みを強化している。東海道新幹線の速度向上による所要時間の短縮はわずかだが、そこには技術開発の成果が詰まっており、世界における日本の高速鉄道のプレゼンス向上につながる。16年には北海道新幹線の開業も控え、日本の高速鉄道網はどんどん充実していく。

日刊工業新聞2015年03月16日 建設・エネルギー・生活

COMMENT

高屋優理
編集局第二産業部
その他

開業前、東京から米原経由で金沢に行きましたが、4時間以上かかり、北陸の遠さを身を以て感じました。北陸新幹線の開業で所要時間は約半分になると、日帰りも可能になりますし、かなり便利になります。

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