ノキアのデジタル地図部門ヒア、約3800億円で独自動車連合が買収

今後、他の自動車メーカーに有料で地図ライセンスとの観測も

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デジタル地図の作成を行うヒアの測定専用車(同社のサイトから)
 フィンランド通信機器大手、ノキアのデジタル地図事業部門であるヒア(HERE、ドイツ・ベルリン)をめぐる買収交渉が、ようやくまとまった。アウディ、BMW、ダイムラーの3社で構成されるドイツ自動車連合と28億ユーロ(約3800億円)で買収することで3日、ノキアと合意。2016年第1四半期に買収が完了する見通しとしている。

 一方で、独自動車連合が、欧米自動車連合フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)、仏ルノー・日産、仏プジョーシトロエン、米フォード・モーター、トヨタ自動車、米GMなどの大手自動車各社に投資を呼びかけ、引き換えにヒアの地図技術をライセンスするのではないかと噂されている。

 4月以降、独自動車連合のほか、米ウーバーと中国バイドゥの連合など計3陣営が買収に名乗りを上げたとされるが、7月に入り独連合を残して脱落。ノキアとの間で買収金額をめぐる協議が続いていた。

 独連合は自動運転車の到来をにらんで、欧米のカーナビ向けデジタル地図で80%ものシェアを持ち、高精度の3次元地図作成技術を持つヒアの買収合戦に参画した。その大きな理由は、ヒアが、グーグルやアップルはじめ自動車産業への参入をもくろむ米IT企業や、同じく自動運転車の開発に乗り出した米ウーバーの手に落ちることを警戒したため。高級車市場でのライバル同士が一致団結してノキアと協議を続けていたが、その間、ウーバーは6月末にマイクロソフトのデジタル地図部門を買収している。

 そもそもノキアがヒアの前身となる米ナブテックを、今回の売却額の3倍近い81億ドル(約1兆円)で買収したのは2008年。ところが、最近ではブロードバンド通信インフラに事業を絞り込むべく、昨年には携帯電話事業をマイクロソフトに売却、一方で4月には同業の仏アルカテル・ルーセントを通信機器分野で最高額の156億ユーロで買収すると発表した。その直前に事業面での相乗効果が薄れていたヒアの売却を決断した。

【過去記事】「独自動車連合、ウーバー、テンセント…白熱するノキアのデジタル地図事業買収合戦」(5月25日付)
http://newswitch.jp/p/740

ニュースイッチオリジナル  

COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会

一時はノキアとドイツ自動車連合の間で金額が折り合わず、膠着状態が伝えられたが、結局、買収額がそれほど吊り上らずに合意に至った。取りざたされているBMW-アップルの提携交渉でもそうだが、将来の自動車市場を展望すれば自動車とITとの高度な融合は必然。ただ、両分野の企業とも互いを必要としている一方で、自動車会社としては巨大化したIT企業にソフトウエアプラットフォームを握られるのではとの疑心暗鬼も芽生えている。自動車ITがらみの買収・提携が増える一方で、大手の自動車およびIT企業による”好きなんだけどなかなか一線を越えられない”微妙な関係は当分続きそうだ。

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