サービスロボットの覇権を握るのは誰だ。開発プラットフォーム競争が激化

IoTサービス開発基盤を発表したNTTが、ソフトバンクの対抗軸に

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コミュニケーションロボット「Sota」を家電やロボット掃除機、血圧計などと連携したシステム
 サービスロボット市場でプラットフォーム競争が激化している。NTTはロボットと家電、各種センサーをつなぐIoT(モノのインターネット)サービスの開発基盤「R―env(連舞)」を発表。誰でも簡単にIoTアプリを開発できる環境を提供する。ソフトバンクがペッパーを発表してから1年が過ぎ、開発者コミュニティーが育ってきたかというタイミングでの参入。ロボットアプリの上位層でプラットフォームを押さえる狙いがある。

 【IoTの中核デバイス】
 人と会話できるロボットはIoTの中核デバイスとして期待されている。テレビやエアコン、照明などネットワーク家電と連携して家族の健康を管理したり、天気や交通状況に応じて休日の予定をお勧めしたりと、IoTと人を結ぶインターフェースになる。家族の好みや潜在需要、消費活動のデータが集中するため、家庭用ロボットを普及させてシェアをとれれば、商機を独占できる可能性がある。

 そこでロボットメーカーはサービスロボットの用途を広げるため、ロボアプリを開発しやすい開発環境を広く提供している。ソフトバンクはペッパーのアプリ開発ソフト「コレグラフ」を提供。プログラミングの知識がなくてもアプリ開発ができるという。実際に小学生がアプリを作りコンペで入賞した。ヴイストン(大阪市西淀川区)はコミュニケーションロボ「Sota」のアプリ開発環境として「ヴイストンマジック」を提供。ブロックを組み立てる感覚でアプリを開発できる。

 この状況でNTTはIoTアプリの開発環境「連舞」を発表した。クラウド上で家電やロボットを連携させサービスを開発できる。幅広いロボットに対応し、当然、ペッパーもつながる予定だ。ロボアプリの上から開発プラットフォームを押さえる。

 【手軽さがうり】
 連舞は専用ソフトを用意しなくてもウェブブラウザ上で誰でも開発できる手軽さがうりだ。現在、ロボット技術者は数千人規模で、ロボアプリ開発者は数万人規模。連舞では数百万人規模のウェブサービスやスマートフォンアプリなどの開発者を取り込む狙いだ。NTTサービスエボリューション研究所の川添雄彦所長は「将来はブログを書く感覚でアプリを開発できるようにしたい」と意気込む。

 【開発者の広がりで改善サイクルが回るように】
 もともと見守りや執事などロボット単体ではサービスは完結しなかった。家庭なら家電、店舗や工場なら各種センサーとの連携が必須だが、接続方式の標準化や保証が難しかった。今回、NTTがアプリ開発基盤の提供を決めたことでIoTアプリの開発が可能になる。開発者が広がれば介護などサービス事業者との連携も増え、現場に即した改善サイクルが回るようになる。

 今後、ロボットやIoTサービスで通信データ量は大きく膨らむとされる。音声認識や画像認識などロボットのコア技術はクラウドのサーバー側で処理するためだ。そして風呂上がりの下着姿もロボットの視界に入れば、データがサーバーに飛んでいく。NTTは情報セキュリティー技術で差別化する。通信とサービスのカギを握るプラットフォーム競争が過熱している。
(文=小寺貴之)

日刊工業新聞2015年08月03日 機械・ロボット・航空機面

COMMENT

政年佐貴惠
名古屋支社編集部
記者

ロボットに依存しないアプリケーション開発環境の登場で、用途開発やロボットの普及加速につながりそうだ。これが海外にまで広がれば、サービスロボットの分野で米グーグルのような立ち位置も狙えるかもしれない。一方で開発基盤が整うとサービスロボットの利用範囲が広がる反面、家電などを連携するだけならロボットの形が必然という訳でもないように思える。ロボットのハード面の向上も当然必要になるのだろう。

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