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料金引き下げも、携帯サービス苦情2万件の半数は「店舗販売」

待ち・説明時間長く、「希望する契約になっていない」
料金引き下げも、携帯サービス苦情2万件の半数は「店舗販売」

販売代理店での待ち時間・説明時間は2時間超が当たり前(写真はイメージ)

 総務省の有識者会議は11月末、携帯電話料金の引き下げに向けた緊急提言案をまとめた。通信料と端末料の完全分離を求める分離プランの導入のほか、販売代理店に届け出制を導入することで携帯電話サービスを適正化する。携帯電話大手は分離プランを軸に、通信料を最大4割引き下げる新料金プランを打ち出しており、シンプルで分かりやすい料金プランの実現につながりそうだ。

 提言案では、端末購入を条件とする通信料金の割引を廃止すべきだとした。4年間の分割払いで端末料を半額にする「4年縛り」など、一定期間の利用継続を条件とした端末料の割引も見直すよう求めた。

 行き過ぎた期間拘束にもメスを入れる。期間拘束なしの料金プランについて「合理的な理由なく(期間拘束プランに比べて)著しく劣る提供条件の設定を禁止」するほか、合理的な根拠がない高額な違約金、自動更新の有無により料金に差をつけることも禁じる。

 販売代理店の業務適正化では、社名や目的を明かさない不適切な勧誘行為を禁止。「端末料0円」など販売店が独自に行う過度な端末購入補助などについて、業務改善命令の対象とするよう求める。

 総務省や全国消費生活情報ネットワークに寄せられた携帯電話サービスに関する苦情件数約2万件のうち、販売代理店や量販店などの「店舗販売」が46・3%を占める。契約内容が複雑化し、説明時間も長時間化。有識者からは「契約内容や料金を消費者が正しく認識できず、希望する契約になっていないのが実情だ」との声が聞かれる。

 携帯電話大手は2時間超が当たり前となった販売代理店での待ち時間・説明時間を半減すべく、来店予約店舗や高齢者向けアプリ利用講座の拡充を打ち出しているが、分かりやすくシンプルな料金プランの実現こそ時間短縮につながるはずだ。一連の提言案を実現するためにも電気通信事業法の早急な改正が待たれる。
                   

(文=水嶋真人)
日刊工業新聞2018年12月14日

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