キヤノンVSエプソン、複合機も超高速インクジェットでガチンコ!

キヤノンがIJ複合機に本格参入

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キヤノンが年内に投入するIJ式複合機
 オフィス向けのインクジェット(IJ)式複合機の競争が激化しそうだ。ニッチながらセイコーエプソンがほぼ独占していた市場に、キヤノンが年内に本格参入する。オフィス向けは圧倒的にレーザー式が主流で、キヤノンもレーザー式の製品を展開してきた。キヤノンの参入で少数派だったがコストメリットに優れるIJ式市場が拡大するのか注目される。

 「いずれ、製品を投入してくると思っていた。想定内だ」。セイコーエプソンの碓井稔社長は、キヤノンがIJ式の複合機市場に参入してきたことにも至って冷静だ。その背景には、先駆者として着実に実績を上げてきた手応えがある。エプソンは定額で利用できるIJ式を使った課金型サービス「スマートチャージ」を2014年に発売し、レーザー式が席巻する複合機市場に挑んだ。

 複合機の貸与から消耗品、保守サービスを含めた定額プランは企業にとって予算管理の上で利点があり、またレーザー式より印刷コストを低減できる点や省エネルギーの点も魅力的とされる。

 当初は販路開拓が進まず伸び悩んだが、徐々に性能を評価する販売代理店が増え、現在は代理店が約400社に広がった。「世界的な環境意識の高まりも追い風になってきた」と碓井社長は展望を話す。

 一方、後発のキヤノンが投入するIJ式の複合機「WG7350」シリーズは、顧客の初期投資負担を軽減できるように月額1万3000円と同1万8000円の定額プランを用意した。用紙幅全体を一度に印刷する技術により、毎分最大80枚の高速プリントを実現。オフィスの使用に応える技術的な課題もクリアし、満を持しての参入となる。国内販売を担うキヤノンマーケティングジャパンは「中堅・中小企業を中心に年間5000台の提供を目指す。IJ式でシェア1位を狙う」と意気込む。

 キヤノンはオフィス向け複合機でリコー、富士ゼロックスと並ぶ、レーザー式の主力企業。IJ式は家庭用プリンターで展開してきたが、法人向け複合機にも本格参入することでレーザー式とIJ式の両市場でシェア獲得を狙う。

 ただ、IJ式は印刷のコストメリットや省エネ性能で利点はあるが、市場としてはまだ成長途上の段階といえる。エプソンだけでは規模拡大に限界があったこともあり、碓井社長は「参入プレーヤーが増えることで、あらためてIJ式の注目度が高まる」と期待を込める。

 キヤノンの本格参入はIJ式複合機の市場拡大の転換点になるのか。レーザー式が主流の複合機業界で関心の的になりそうだ。

(文=杉浦武士)

日刊工業新聞2018年12月20日掲載

COMMENT

梶原洵子
編集局第二産業部
記者

エプソンの碓井社長はチャンスと思っているかもしれません。今、新興国を中心に人気の大容量インクタンク搭載プリンターは、後続メーカーが出て市場が拡大しました。今回も同様に市場拡大、レーザー方式からの置き換えは進むと思います。ただ、エプソンは複合機を他社製品も扱う代理店に売ってもらっているため、代理店が複数社のIJ複合機にどう対応するか、長い付き合いのメーカーを優先しないのかは気になるところです。

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