「大人だけ答え知る時代は終わった」楽天×地元高校生の地方創生プラン

社員も成長

 楽天は8月から高校生と同社社員が一緒に地域課題の解決を考えるプログラムを展開してきた。高校生は地域の課題に気づき、アイデアの発想法を学んだ。社員は同社の技術・サービスを地方創生に活用できると知る機会となった。楽天にとって地方創生は創業の原点であり、本業でSDGs(持続可能な開発目標)にも貢献できる分野だ。

 楽天本社(東京都世田谷区)に8日、水沢商業高校(岩手県)、熊本商業高校など10校のチームが集まり、成果発表会を開いた。尾道商業高校(広島県)のチームは外国人観光客が尾道であまりお金を使わない課題に挑んだ。街で外国人に聞き、導き出した解決策が外国人向けの観光案内ウェブサイトだった。

 「街」「自然」など、目的や好みを選択するとお薦めの観光ルートを提案してくれる。滞在時間を長くし、尾道で使うお金を増やすアイデアだ。楽天の外国人向け観光情報サイトなどを活用する。高校生は「他の都市でも使える」と手応えを語った。

 プログラムは今回が初めて。8月上旬、楽天社員45人が10校に分かれて3日間、現地に滞在。高校生と議論し、住民にもインタビューした。地域課題に対して楽天の技術・サービスを活用した解決策を練った。

 2017年まではインターネットで商品を売る電子商取引(EC)を高校生に教えていたが、出前授業では先生役の社員が生徒へ教える一方通行になりがち。今回のプログラムでは社員と高校生が同じテーブルに着き、同じ目線で話ができる。成果発表会までの間も連絡を取り合い、高校生の発想が磨かれていった。

 楽天の小林正忠常務執行役員は「高校生が率先して地域のことを考えてくれたことがうれしい」と語った。社員も自社の技術・サービスの思いもよらない使われ方に気づき、自分たちの仕事が社会に役立つと確認できた。

 ECサイト「楽天市場」は、三木谷浩史会長兼社長が地方に広がるシャッター街の問題を解決しようと97年に立ち上げた。地方の商店でも楽天市場に出店すれば、商圏を全国に広げられるからだ。

 SDGsには「都市部とその周辺部、農村の良好なつながりを支援する」との目標もある。地域課題を解決する技術・サービスは日本だけでなく、海外でも求められている。小林常務執行役員は高校生と社員に向け、今回の活動が「世界の持続可能な未来につながる」とエールを送った。高校生の発想から世界に通用する技術・サービスが生まれるかもしれない。

SDGs情報を集めたフェイスブック始めました


日刊工業新聞社では、ニュースイッチに掲載したSDGs関連情報を集めるフェイスブックを始めました。順次更新し、さまざまな企業の事例を紹介していきます。ぜひ登録して、のぞきに来て下さい。
Facebookページ『SDGsトピックスfromニュースイッチ』へ

日刊工業新聞2018年12月19日掲載

松木 喬

松木 喬
12月20日
この記事のファシリテーター

「大人が正解を知っている時代は終わった」。小林さんが最後に言っていました。あの場にマッチにしていましたね。卒業後に地域で就職する機会が多い公立商業高校向けのプラグラムです。小さな変革でも地域に根ざした大きな一歩となると思います。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。