やっぱりシャープは液晶事業で外部と提携か。わずか2カ月で方針転換?

4―6月期で137億円の営業赤字を計上。中国スマホ向け苦戦で高橋社長が表明

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亀山第2工場(液晶パネル製造装置)
 シャープの高橋興三社長は31日の決算会見で、液晶事業について分社化や他社からの出資を検討する考えを表明した。5月14日の中期経営計画を発表した時点では、「まったく考えていない」と真っ向から否定していたが、わずか約2カ月での方針転換。

 高橋社長は今年度から自ら液晶事業を担当するようになった。31日の会見で「想定より厳しい環境になっている。来年に向かってこのままいけるか疑問視している」と話し、暗に見通しの甘さを認めた形だ。特に主戦場である中国のスマートフォン向けが低迷しているという。

 6月から液晶などの5事業について事業本部制を導入、10月には社内分社による独立採算のカンパニー制に移行する。経営判断を早めコスト管理を徹底させる狙いだが、投資余力に乏しい現状は変わらない。

 3カ年の中計で設備投資の過半を液晶に振り向ける方針というが、数千億規模の投資が当たり前の業界で、年間数百億円程度しか捻出できないシャープが競争力を維持できないのは明らか。人材の流出も続いている。本質的な経営判断がまたもや後手に回ったのであれば、主力取引銀行を含めその責任は重い。
 

ライバルも中国市場へ攻勢、アップル経済圏では存在感薄れる


日刊工業新聞4月17日付「深層断面」から抜粋・一部修正


 中小型液晶パネル業界では、スマートフォン「アイフォーン6/6プラス」が好調なアップル、そして急成長を遂げた中国スマホメーカーからいかに多くの受注を確保するかが最大の関心事だ。米アップルとの取り引きではジャパンディスプレイ(JDI)が関係を強めている。もう一方の中国スマホ市場においては、現地のパネルメーカーも巻き込んで受注合戦が激化する。シャープの中小型液晶パネル事業を取り巻く環境は厳しさを増している。

 アイフォーンに液晶パネルを供給するのは、JDI、韓国LGディスプレイ、シャープの3社。このうちJDIは、アップルの資金支援を受け16年度に石川県白山市に新工場を建設する方針。もともとシャープの供給量はJDI、韓国LGディスプレイと比べて一段少ない規模。JDIが新工場を建設し、頭一つ抜け出すことで、シャープの存在感は薄れる。

 一方の中国スマホ。足元では若干需要が弱含んでいるものの、世界最大市場を抱える現地スマホメーカーとの取引拡大は液晶パネルメーカーの成長に不可欠となっている。シャープ、JDI、LGディスプレイの大手パネルメーカーのほか、台湾・群創光電(イノラックス)や中国・京東方科技集団(BOE)といった中堅メーカーも営業攻勢をかけている。

 アップルか中国スマホメーカーか―。シャープはアップルが求めるLTPS(低温ポリシリコン)液晶の生産増強が難しいことなどを背景に中国メーカーとのビジネスに軸足を移し始めている。
 
 4月初旬には中国・深センで開催された情報・電子機器の見本市「中国電子信息博覧会(ITエキスポ)」に高橋興三社長が駆けつけ、中国メーカーへのトップセールスに精を出した。7月には電子情報産業が集積する華南地区を攻略するための販売拠点を深センに新設する計画。

 巻き返しを図るシャープだが、ついて回るのは投資資金をどう確保するかだ。液晶パネルは装置産業であり、一定規模で継続的な設備投資を行っていくことが、競争力に直結する。JDIは新工場に約1700億円を投じ、中国、台湾の中堅パネルメーカーも数千億円規模の投資で能力増強や新工場建設に動いている。分社化して設立する事業会社への過半出資にこだわるあまり、投資資金を呼び込めなければ分社化の意義は薄れる。

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

高橋社長のコメントはおそらく銀行側からの強い意向で「言わされた」のだろう。5月の時点で市場はシャープの再生についてほとんど信用していなかった。経営トップが外部との提携も排除しないことを明言したことで、事は一気に動き出す可能性が高い。一方でシャープは「約2兆円の家電メーカー」として生き残っていく戦略も早急に実行に移していかないと。

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