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【今週のリケジョ】企業の“リスク分析”やりがい

明治安田生命保険 加藤由起さん
 明治安田生命保険でアクチュアリー(保険数理人)として働く加藤由起さん(34)は、会社が抱えるリスクを分析し経営層などに報告する業務に携わる。2015年に難関アクチュアリー試験に合格。1児の母として仕事と育児に汗を流す。「女性アクチュアリーが増えるとうれしい」と笑みをこぼす。

悲願の資格、カフェで朝勉強


 小学生の頃から算数や理科が好きで、早稲田大学で応用物理学を専攻し同大院でも学びました。メーカーに就職する友人が多かったですが、私はスケールの大きい金融に興味を持ちました。就職活動当時、理数系の知識を生かせるアクチュアリーを知り、挑戦しようと決めました。当社に入社したのは面接してくれた方々の充実した表情から、楽しく、自分らしく働けそうな社風が伝わってきたためです。当時の印象は今も変わっていません。

 現在、企業を取り巻くリスクは多様化し、増え続けています。保険会社においてもリスク管理の重要度は高まる一方で、当社も高度化を推進しています。今はリスク管理統括部で、定量的、定性的に分析した会社のリスク状況を経営層や社内の部署に発信しています。重要な任務にやりがいを感じる日々です。

 アクチュアリーは数理業務に高い専門知識を持っており、保険会社では適正な保険料などの算出を通じて、商品開発に深く関わります。リスク管理も重要な業務の一つです。私は資格取得までに約7年かかりました。出勤前にカフェで1時間ほど勉強し、週末も多くの時間を学習に充てました。おかげで会社がある東京・丸の内のカフェ事情に詳しくなりましたね。

 アクチュアリーは業務を通じて専門知識を身に付けられます。性別に関係なく長く働く上でプラスになるので、多くの女性に挑戦してもらいたいです。

 

(文=小野里裕一、写真=成田麻珠)
日刊工業新聞2018年12月3日

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