工場がサンクチュアリ!大日本印刷、東芝が連携し希少種を工場で守る

キンランの人工受粉
 大日本印刷と東芝は神奈川県内の両社の拠点が連携し、工場内で希少種のハマカンゾウを保護する取り組みを始めた。工場の生物多様性保全と言えば緑化が思いつくが、2社は希少な動植物を保全する場所として工場の活用を広げていく。東芝は人工繁殖の方法が確立されていないキンランの保全も始めており、学術的にも注目されそうだ。

 6月下旬、大日印子会社のDNPテクノパックの社員が横浜工場にハマカンゾウ30株を植えた。近隣の東芝ライテック横須賀工場で育てられた株を譲り受けた。

 ユリ科のハマカンゾウはオレンジ色の花を咲かせる。希少なため盗掘被害が絶えず、株数が減っていた。東芝ライテックの社員が三浦半島に生息するハマカンゾウを工場内に移植して株数を増やし、元の生息地に戻している。DNPテクノパックも増殖し、野生に戻す予定だ。

 工場内は天敵が少なく、盗掘被害に遭う恐れもないので希少種には生息しやすい。大日印と東芝は年から連携し、愛知県内の両社の工場内で希少なチヨウの生息地づくりにも取り組む。両社は各地の工場で地域固有の動植物を保護しており、全国6カ所で連携する。

 また東芝の横浜事業所では国指定の絶滅危惧種「キンラン」の保全を始めた。キンランはラン菌とブナ科の樹木が近くにないと生息しない。事業所では人工授粉をし、種子をまいて自然に発芽するかを観察している。

日刊工業新聞2015年07月31日 素材・ヘルスケア・環境面

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松木喬
編集局第二産業部
編集委員

日本も締結する生物多様性条約の第9条に「生息域外保全」があります。希少種を本来の生息地ではない場所で保護しながら人工増殖させる取り組みです。朱鷺も生息域外保全に当たります。植樹や植林も大切な活動ですが、工場で希少種が増えると生物多様性保全に取り組んだ成果としてわかりやすいです。大日本印刷はジャコアゲハ、キバネツノトンボ、東芝はカワバタモロコ、ギフチョウなど絶滅の恐れがある生き物を工場で保護しています。

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