ニュースイッチ

【今週のリケジョ】ポンプ生産に“新風”

荏原 八鍬奏日亜さん
 雨水を排水する巨大なポンプの寸法を黙々と検査する荏原の八鍬奏日亜さん(22)。直径3メートル近い雨水の吸い込み口の前に立ち、先輩と連携して巻き尺を伸ばしていく。ポンプの組み立て工程の検査を任されている。「女性が活躍できる土台を作る」と男性中心の工場に新風を吹き込む。


測定器の扱いに配慮学ぶ


 製造現場で働きたい思いが強い私の原点が、仙台高等専門学校での5年間です。マテリアル環境工学科(現マテリアル環境コース)で、金属材料の特性や加工法の知識などを学びました。企業説明会で荏原を知り、富津工場(千葉県富津市)を見学して、自分がやりたいことを実現できると感じました。入社に備えて、校内で溶接や旋盤などの基本的な操作を練習したのを思い出します。

 組み立て工程の検査を私と2人の先輩が担当していて、大型ポンプの場合、安全帯を取り付けて床から5―6メートルの高さの位置で調べます。工場のさまざまな場所を回るので、毎日10キロメートルぐらい歩いている計算です。

 入社して3年ですが、先輩にはたくさんお世話になって頭が上がりません。「測定器をきれいに並べているほうが見栄えがいい」とアドバイスされたのが印象に残っています。立ち会い試験などで顧客が工場を訪れるので、検査のノウハウを身につけるだけでなく、測定器の扱いに対する心配りの大切さを実感しました。仕事で覚えることはたくさん残っています。

 一方で、現場の皆さんも私との接し方に試行錯誤していたように感じます。これまでの工場の固定観念を取り払って、女性が活躍できるよう自分の力を生かしていきたいです。

 バンドを組んでいて、バイオリンを担当。定期的に都内のライブに参加しています。人前での演奏は度胸が身につきますね。

               

(文=孝志勇輔、写真=森住貴弘)
日刊工業新聞2018年11月26日

編集部のおすすめ