NECが研究人材改革。採用で「ダブルメジャー」求む!

電気・電子から理学にシフト。ビッグデータやセキュリティー事業の拡大にらむ

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 NECは研究所の人材を多様化する改革に乗り出す。2019年度をめどに、博士号を持つ研究者の比率を現状比10ポイント増の40%に増やすほか、外国人の比率を同4ポイント増の10%に引き上げる。専門分野も従来の電気・電子といった工学系から、データを使いこなせる数学や物理学など理学系の採用に比重を移す方針。研究活動のグローバル化と新事業の育成をにらみ、人材、分野ともにダイバーシティーの強化を急ぐ。

 新たに採用する人材の半数は、博士号を持つ研究者とする。「視点が高く、視野の広い人物を採るため」(江村克己執行役員)で、特に、異なる二つの分野を大学で専攻した「ダブルメジャー」の履修者を意識的に採用する。
 
 現在、ダブルメジャーを収めた研究者はすべて外国人。外国人は博士の割合も多く、同社の外国人比率はここ3年で倍増した。さらに新規採用の30%を外国人にし、研究所内のコミュニケーションも英語を多用する。女性の比率も現在の8%からより高める。
 
 NECは近年、社会の課題を解決するソリューション型のビジネス推進に転じた。そこでは、ビッグデータ(大量データ)を分析する「データアナリティクス」や、セキュリティー分野の研究者層を厚くする必要がある。
 
 研究所では現在、電気・電子・情報系の出身者が54%と大半を占める。今後は、現時点で22%にとどまる理学系、および5%に満たない学際領域や文科系のバックグラウンドを持つ研究者の採用を積極的に増やす。

理系人材採用「後ろ倒し」に期待と不安


日刊工業新聞社 研究開発(R&D)アンケートより(7月27日付)


  今年から採用活動を始める時期が4カ月遅くなったことを受け、理系人材の採用を計画する企業には期待と不安が交錯している。選考が「後ろ倒し」になったメリットを聞いた設問(複数回答)では有効回答222社のうち、16・7%が「最終学年前の勉学集中」、11・7%が「インターンシップ重視による相互理解向上」と答えた。一方、「ない」が55・9%に上った。「デメリット」について聞くと、「短期化による採用業務の集中」が43・2%、次いで「学生の最終学年時の勉学妨げ」が39・6%だった。

 後ろ倒しの利点に関する回答を業種別にみると、「建設・住宅・不動産」で「指導教官に学生の適正を知った上で推薦してもらえる」(五洋建設)など評価する傾向がみられた。「電力・ガス」では東京電力と東京ガスが、海外留学組の採用増を挙げた。富士通は「準備期間が長くなり、イベント頻度を増やし、学生との相互理解の向上が図れた」とした。ただ「初年度が終わっておらず、分からない」と答えた社も多い。

 「後ろ倒し」は大学が学生に勉学を集中させるために選考の短期化を求め、経団連がそれに応えた経緯がある。ただ、経団連加盟企業が採用選考の開始を8月に変えた一方、外資系など非加盟企業は従来のスケジュールのまま。「かえって長期化してしまった」「企業にも学生・大学側にもマイナス」との声が相次いでいる。

 「足並みがそろわず学生・大学も企業も混乱」(ヤマハ発動機)し「採用が複雑化」(日本ユニシス)。「内定者数の見込みが立たない」(横浜ゴム)という声も。「企業、学校側の対応にバラツキがあるため、遵守する企業を希望する学生が減る可能性がある」(トヨタ自動車)という。

 理系ならではの問題もある。春から夏にかけては最終学年の研究が本格化したり、国際会議の発表など「学業が多忙になる時期と重なる」(第一三共)。推薦応募など「技術系は学校の動きに左右される部分が大きい」(ブリヂストン)こともあり、「就職活動を積極的に行わない学生と接触する機会が減少してしまう」(JT)とみる向きもある。また「学生の企業に対する理解不足」を住友重機械工業や帝人などが指摘している。

 ※日刊工業新聞社では毎年、研究開発(R&D)アンケートを実施。今年は6月上旬から下旬にかけて調査し有効回答は236社だった。

日刊工業新聞07月28日付科学技術・大学面

COMMENT

神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

さまざまな背景を持つ人材を積極活用するー。これがダイバーシティ経営です。とりわけNECが力を入れるソリューションビジネスは、従来型の研究領域や専攻分野といった枠にはおさらまらない多様な専門性や技術が求められるのでしょう。

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