オムロンの技術トップが語る、ロボット普及への課題

執行役員技術開発本部長・福井信二氏インタビュー

 ―労働力不足などを背景にロボットへの期待が高まっています。
 「社会課題を解決していくことが、当社のロボット事業戦略の根底にある。顧客に寄り添って考えた時、ロボットの応用範囲はかなり広い。危険な作業や単純労働はロボットに置き換え省人化・無人化していくべきだろう。現状の機械では自動化が難しい人手作業も、動きの自由度が高いロボットを導入すれば、人は本来働くべき場所で活躍できるようになる」

 ―人と一緒に働く協働ロボットの台湾メーカー、テックマンロボットと提携しました。
 「投資対効果を見た場合、一気に自動化を進めるのが難しい部分もある。その場合は徐々に自動化に向かうプロセスを描いて、導入できるソリューションをつくっていく。当社の工場でも従来、出来上がった製品を出荷場所に持っていくだけの仕事を人が行っていた。手組みラインを残しつつ搬送作業を自動化するには、搬送ロボットが非常に有効だ。この発展型で当社の搬送ロボットに、テックマンのアーム型協働ロボットを搭載すれば、できる作業が広がる」

 ―使いたくても、上手に使えないといった課題もありますね。
 「ロボットは自由度が高く、システム構築(SI)の仕方一つで生産性も柔軟性も大きく変わる。SI事業者を育成し、顧客需要に合致したシステムを簡単に実装できるようにすることが製造業へ広める一番の手段。適切なSI手法と、能力を最大限引き出すソフトウエアを提供する。技術支援も含め道具を用意し、ロボットを身近にしていきたい」

 ―ロボットの普及に向けた課題は。
 「マニピュレーター部分の制御は成熟しており課題はない。人との協働は、周囲の状況を把握する計測が重要。課題もあり強化する。人の感覚に頼る組み立て作業などで使うには、力覚センサーも必要だ。経験値を基にする人手作業を、ロボットにいかに早く習熟させるか。これは人工知能(AI)に期待している。当社にない技術や商品の進化が見えるワールド・ロボット・サミット(WRS)で、オープンイノベーションを加速したい」

【記者の目】
 オムロンの制御機器事業の基本概念は「人と機械のベストマッチング」。センサー、コントローラー、アクチュエーター、安全機器に加え、2015年にソフトウエア技術の蓄積も豊富な産業用ロボットの米メーカーを買収し高度な自動化提案を加速した。5月の台湾企業との提携により、人と並んで働くロボットを実現する。
(京都・松中康雄)

日刊工業新聞2018年10月4日

  

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