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50年以上前に建てられた「旧家」、次世代へ継承―住友林業ホームテック

味わい生かしつつ耐震性や断熱性高める
50年以上前に建てられた「旧家」、次世代へ継承―住友林業ホームテック

旧家リフォームの一例。これまでの実績の中には築年数300年を超える物件もあるという

 住友林業ホームテック(東京都千代田区、光吉敏郎社長、03・5217・5110)は「旧家リフォーム」事業の売上高を2020年度に14年度比6割増の100億円に拡大する。一棟ごとに異なる外観や味わい、伝統構法の良さを生かしつつ耐震性や断熱性を高め、次世代に継承できる住宅への再生を提案する。木造住宅に関する技術力で差別化を図り、事業を拡大する。

 住友林業ホームテックは1950年の建築基準法制定以前に建てられた住宅を「旧家」と定義している。事業拡大に向け、「旧家再生研究所」を中心に全国の旧家リフォームの情報を集約して技術開発に生かすほか、工事内容やノウハウを全支店で共有。茅葺(かやぶき)屋根の葺替(ふきかえ)などを担う工務店のネットワークも充実させる。4月には技術開発部内に専門家を配置し、設計・デザイン力の向上を図っている。

 総務省の調査によると50年以前に建てられた住宅は164万戸ある。リフォームの技術的なハードルは高いものの、平均単価は2000万円ほどで在来工法の大規模改修(リノベーション)と比較しても単価が高い。中には5000万―6000万円の大型工事もあり、一定の採算性が期待できる。

 旧家の中には老朽化が激しく、居住者もいないまま取り壊されるケースもあるが、一方では歴史的な価値に着目し、「残すことが大事という発想が強くなっている」(小倉哲夫常務執行役員)という。近年ではあえて古い住宅を購入し、自分好みにリフォームする動きも目立っている。多様化するニーズを取り込み事業を拡大する。
日刊工業新聞2015年07月27日 建設・エネルギー・生活面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
古民家ブームが依然続いています。住居や店舗にリフォームするだけでなく、オフィスやシェアハウスとして使われる例も。

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