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日米のホタルゲノム解読でわかった進化の過程

どうやって発光に必要な酵素を得た?
日米のホタルゲノム解読でわかった進化の過程

ゲノムを解読したIkeya−Y90系統のヘイケボタル(大場裕一中部大学准教授提供)

 基礎生物学研究所生物機能解析センターの重信秀治特任准教授らは、ホタル「ヘイケボタル」と米国産ホタル「フォティヌス・ピラリス」の全遺伝情報(ゲノム)を解読した。発光に必要な酵素の「ルシフェラーゼ」の遺伝子を進化の過程でどのように得たかが分かった。環境保全の基盤情報につながる。

 ゲノム解読の結果、光らない生物も持つ脂肪酸代謝酵素「アシルCoA合成酵素」が進化の過程で何度も重複して複数のコピーが出て、その一つが発光特性を持つルシフェラーゼに進化していた。ルシフェラーゼは遺伝子重複を起こし、ホタルの成虫の発光器官になるものと、卵とサナギで発光するように進化したものがある。1億年以上前に起こった。

 またホタルと同じように発光する昆虫のヒカリコメツキのゲノムも解読した。ホタルと同様にアシルCoA合成酵素を起源とするルシフェラーゼを持つが、ホタルとは別に発光の能力を得たことが分かった。
日刊工業新聞 2018年10月19日
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
もともとは同じ酵素遺伝子を持っていたのに、多くの光らない生物に対して、なぜホタルは変異したルシフェラーゼ遺伝子を持つ個体が残っていったのかも気になります。生存競争で有利だったのか、それともホタルは他の生物よりも遺伝子の変異が起こりやすかったのか。詳しい話を聞いてみたいです。

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