地銀で信用力低い融資拡大…日銀が過度なリスクテイクに警笛

「金融システムリポート」で指摘

日銀はバブル崩壊後、金融活動の過熱感が最も高まっていると試算
 日銀は半年に1度公表する「金融システムリポート」で、バブル経済崩壊以降、金融活動の過熱感が最も高まっているとの試算を公表した。人口・企業数の継続的な減少や超低金利の長期化に伴い、地方銀行などで相対的に信用力の低い「ミドルリスク企業」向けや不動産業向け融資などを拡大していると指摘。金融機関の過度なリスクテイクが拡大すれば、実体経済の先行きに大きな下押し圧力になると警戒する。

 日銀は今回のリポートで、「国内の金融仲介活動は銀行貸し出しを中心に引き続き積極的な状況にある」(金融機構局)と指摘。金融活動は拡張局面が続くものの、「1980年代後半のバブル期にみられたような過熱感はうかがわれない」(同)との認識だ。

 ただ、人口減少や超低金利環境下で、金融機関の基礎的収益力の低下を警戒。特に、地銀などはリスク資産に見合った利益を必ずしも得ておらず、自己資本比率は緩やかな低下傾向にある。経済に負のショックが発生した場合、積極的なリスクテイクを行う金融機関では、損失拡大により自己資本の下ブレが大きくなる可能性を示唆した。

 日銀は「金融機関は足元で資本、流動性とも相応の耐性を備えているので、金融システムは安定している」(同)とした上で「収益力が低下する地域金融機関を中心に引き続き注視する」との構えをみせる。

 不動産業向け貸し出しでは新規実行額が前年を下回っているものの、残高ベースでは前年比5%台の伸びを示している。全産業向けの伸び率2%を引き続き上回っており、国内銀行の不動産業向け貸出残高は、2018年6月末時点で約77兆円に到達。バブル期を上回る過去最高の水準にある。

 不動産業向けでは主に、1件当たりの融資額が小さい賃貸業向けの貸し出しが増加している。貸し出しの小口化によりリスク分散に寄与する面もあるが、人口減による賃貸アパートの需給緩和リスクも指摘される。地銀では利払い能力の低い投資家層の融資申し込みも増えており、「適切な引当率の設定や審査・管理の改善でリスク管理の実行性を高める必要がある」(同)としている。

 金融活動の積極化は足元の景気拡大を支えているのも事実。金融機関には多様なリスクテイクが金融システムに及ぼす影響を注視し、適切な対応策を担保することが求められる。
(文=長塚崇寛)

日刊工業新聞2018年10月24日

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