日本企業で最大供給者はルネサス、購入者は三菱電機「大いなるその他市場」

文=山地正恒 産業機器向け半導体は自動車、ロボット、医療など多様な顧客が需要支える

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 産業機器向け半導体は半導体市場全体の1割ほどの規模だが、成長率は高い。2000―19年まで半導体全体の年間平均成長率が3・2%なのに対し、産業機器向けは6・2%。医療、エネルギーマネジメント、インバーター、鉄道などさまざまな応用領域があり、「大いなるその他市場」とも言われている。

 これまで半導体需要をけん引してきたのは、スマートフォン、テレビなどのコンシューマー製品が中心だが、消費者の予算の中で市場を取り合う「ゼロサム」的な性格が強い。

 一方、自動車においてメカ部品が電子制御部品に移行したのと同様に、産業機器はこれまで機械で動作させていたものを小さく、軽く、安く、使いやすくといったニーズに対応するため、電子化が進み、それが半導体需要を生み出している。

 例えば中国では、人件費の上昇から、組立工場の労働者の代替として産業用ロボットの需要が高まっている。電力の検針も通信機能のついたスマートメーターに移行している。医療分野でもコスト削減、患者の身体的な負担軽減などの理由で医療用電子機器の導入が進む。発光ダイオード(LED)照明、監視カメラという年率20%前後の大きな成長が期待できる分野もある。

 通常の製品は景気の上昇・下降に合わせて売り上げが変動する。産業機器は社会インフラでもあり、景気の低迷時には政府の景気刺激策によってマーケットが伸びたりもする。政府による規制強化や補助金による影響が強い市場分野である。

 産業機器向けの半導体ベンダーを売上高順に見てみると、
(1)テキサス・インスツルメンツ
(2)STマイクロエレクトロニクス
(3)ルネサス
(4)インフィニオン
(5)アナログ・デバイセズ
(6)サムスン電子
(7)オスラム
(8)クリー
(9)SKハイニックス
(10)ソニー。

 半導体購入者としては、
(1)シーメンス
(2)ゼネラル・エレクトリック(GE)
(3)フィリップス
(4)ABB
(5)三菱電機
(6)東芝
(7)オスラム
(8)ダナハー
(9)パナソニック
(10)ハイクビジョン
の順となっているが、同市場での上位企業による需要は相対的に小さく、むしろ中小企業を中心とした多様な顧客が需要を支えている。

 そのため、顧客満足(CS)第一でビジネスに臨むと赤字になりやすい。日本の半導体ベンダーは産業機器向けに力を入れているところが多いが、海外市場も含めユーザー層を広げる際に、CSを維持しつつも顧客1社当たりのサポートコストをいかに抑制するかが成功のカギとなる。
 文=ガートナージャパン部門主席アナリスト 山地正恒氏
 日刊工業新聞では毎週水曜日に「テクノロジーウオッチ!進むデジタル化」を掲載中

日刊工業新聞2015年07月08日 電機・電子部品・情報・通信面

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア事業担当 DX統括

ベンダーはある程度想像がつくが、購入者は興味深い。特に5位以下は。ベンダーも上位企業だからといって収益が高いとは限らない。赤字になる企業もある。文中にあるようにデジタルコンシューマー向けやメモリーなどのようにゼロサムとは違うところ。微細化などの技術や開発力というより営業マネジメントの巧拙が収益でも重要になってくる。

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