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KDDIの“おせっかい”―社員が出向きスマホ初心者に使用法伝授

趣味サークルやイベント活用
KDDIの“おせっかい”―社員が出向きスマホ初心者に使用法伝授

カラオケ店でカラオケに役立つアプリを紹介

 KDDIがスマートフォンを使い慣れていない利用者に、徹底したサポートを推し進めている。社員がサークル活動やシニアが集う場所に出向いて、生活に役立つスマホの使い方を紹介するといったきめ細やかな後押し。NTTドコモやソフトバンクもサポートを重視しているが、KDDIは“おせっかい”と呼べるほどの対応だ。
 
 「スマホを使いこなすための初期のサポートというよりは、その次のステップの活動に位置づけている」。カスタマーサービス本部の木村奈津子同サービス企画部長は「auおせっかい部」の目的をこう説明する。
 部員が毎月2―3回のペースでサークルなどを訪れ、活動に合うスマホのアプリケーション(応用ソフト)やサービスの使い方を伝授する。例えばシニアの男性に人気が高い料理教室では、料理をスマホのカメラできれいに撮影するこつをアドバイス。また、料理の基本である千切りとみじん切りの動画を紹介した。

 「集まりに出向いたほうが、みんなが助け合いながら学べる」(木村企画部長)という。もちろん、他社スマホの契約者にも使い方を説明する。
 KDDIは有料の会員制サポートサービスも提供しており、花見といったイベントとスマホの講座を組み合わせるユニークな取り組みを進めている。ただ頻繁にイベントを開くのは難しい。そのためサークルなどに出向くおせっかい部の活動を通じて利用者との接点を増やし、生活に合わせたスマホの活用を提案する。

 同部の活動で得られた知見やノウハウは、全国の営業担当者やauの店舗スタッフ向けの教材として生かす。シニアやスマホ初心者に対する、接客力の向上を見込めそうだ。「店舗だけが販売の場ではなく、生活を豊かにする提案ができるようになれば(販売力は)強くなる」(同)。これまでの活動を講座形式にまとめて、自社サイトにも公開している。

 携帯電話各社のサービスや扱う端末は差別化が難しくなり、契約者を獲得するためにもサポート力の重要性が増している。スマホを使いこなしてもらうには、初期設定への対応だけでなく、生活スタイルとスマホを結びつけて説明することが欠かせない。自ら出向き、趣味などと絡めてスマホの活用を提案する同部の活動が、サポートの新たな方向性を示しているといえそうだ。
(文=孝志勇輔)
日刊工業新聞2015年07月24日 電機・電子部品・情報・通信面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
趣味だけでなく、病院の待合室や薬局で健康サポートアプリを紹介する、などもいいと思います。

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