“患者さん中心”の意識を社内に浸透、武田薬品の参加型CSR

CSRヘッド・圭室俊雄氏インタビュー

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ワクチン接種の現場(ラオス)
 武田薬品工業は途上国と新興国の人々の健康改善や疾病予防に貢献する「グローバルCSRプログラム」を2016年度に発足させた。18年度は、国連児童基金(ユニセフ)が手がける、サハラ以南のアフリカ諸国における保健システムの強化といった三つの案件に14億円を拠出。16年度以降の拠出金総額は59億円に上る。同プログラムの狙いや成果、今後の展望などをCSR部門の責任者である圭室(たまむろ)俊雄氏に聞いた。

 ―グローバルCSRプログラムの位置づけは。
 「従業員に“患者さん中心”を意識付ける上で必要な取り組みだ。製薬企業は、病気があって患者ができたところに薬を提供するビジネスだと思われているが、予防の段階からしっかり社会の役に立つ会社だと申し上げたい。こういう取り組みを、社外の利害関係者にもお話させて頂き、当社への評価の向上にも寄与させていきたい」

 ―対象案件を選定する際、社員による投票を実施している点がユニークです。
 「クリストフ・ウェバー社長には、従業員をCSRの取り組みに巻き込んでほしいとの強い思いがある。社長が投票していない案件が選ばれたとしても、結果は尊重される」

 ―人材の育成につながる可能性もありそうですが、現時点での手応えは。
 「今年、はしか予防接種関連の案件でラオスを視察した。(同行者を)社内で募集した際にかなりの応募があり、最終的に10人に絞り込んだ。視察後、『武田薬品で働いていてよかった』『ここまでやっているとは信じられない』『誇らしい』といった反応が得られた。人事部門やシステム部門の人には、“患者さん第一”と言われてもなかなかイメージしにくい面があるが、こういう機会があると分かってもらえる」

 ―将来、新興国で医薬品ビジネスがやりやすくなる波及効果も期待できますか。
 「結果的にそうしたことは起こり得る。(現時点では進出していない国や地域の)市場に入っていきやすくなる可能性は否定しない。ただ、(CSRの施策は)純粋な寄付行為としてやっている」

(文=斎藤弘和)

日刊工業新聞 2018年10月5日

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