今よりもエネルギー・資源を使えなくなった時に備えた経営とは?

「2030年環境経営」連載スタート、クレアン薗田社長に聞く

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クレアンの薗田社長
 2030年の国の温室効果ガス排出削減目標が決まろうとしている。その30年はエネルギーや資源の制約が強まると予想されている。ブランドイメージ向上のための従来型の環境経営の取り組みでは企業活動を継続できない。事業と一体化し、環境課題を解決しながら企業を成長させる環境経営が社会から望まれている。

「ソニーらしさ」のある環境経営とは 


 ソニーは6月、16年度からの環境計画を発表した。二酸化炭素(CO2)の排出削減などおなじみの項目が並ぶ中、「環境問題を啓発する映像を世界で5億人以上に視聴してもらう」という新しい目標を盛り込んだ。
 WWFジャパンの東梅貞義自然保護室長は「映像なら1度に5億人に働きかけられる。ソニーらしい」と絶賛した。これまで電機メーカーは製品の省エネルギー化を競ってきた。新しい目標には映画事業を持つ「ソニーらしさ」が出ている。

 いま、求められているのは個性的な環境経営かもしれない。9月発行予定の改正ISO14001は企業に環境経営と事業との一体化を求める。事業は企業で異なるため、一体化すると自然と環境経営に個性が生まれる。
 そもそも一体化は社会からの要請だ。環境報告書の発行などで体裁だけを他社並みに整えた企業が少なくない。欧州では「地球にやさしい」など聞き心地のいい言葉で訴求する企業は、偽善のエコを意味する「グリーンウォッシュ」と批判される。

 省エネ製品の販売など事業を通した環境貢献なら、利益にもつながる。利益が出れば環境貢献は長続きする。「お金もうけ」といえば聞こえは悪かったが、企業の成長に結びつく環境貢献であるほど社会から評価されるようになった。

 投資家も環境課題解決能力を投資判断の基準にする。社会課題を解決しながら成長する姿を投資家に伝える「統合報告書」が登場し、世界的大企業が発行を始めている。
 環境経営の世界の潮流は、環境課題の解決と事業成長の両立だ。日本企業も自社の強みを生かした環境経営への転換を始めている。

インタビュー/クレアン社長・薗田綾子氏「50年目標に長期ビジョンを」


 大手企業のCSR(企業の社会的責任)を支援するクレアン(東京都港区)の薗田綾子社長に新しい環境経営について聞いた。

―2030年に向けて必要なことは。
 「50年を目標とした長期ビジョンを作るべきだ。ビジョンがあるということは50年時点も会社を存続させようという宣言になる」

―なぜ、長期ビジョンが必要ですか。
 「今のビジネスは通用しなくなる。売上高を2倍にしたくても2倍の原材料を確保できるとは限らない。資源の使用に制約が生まれるからだ。気候変動も含めた環境変化を想定し、将来のあるべき社会を描かないと持続不可能になる」

―制約を乗り越えるには。
 「自分たちの強みを生かして何ができるかを考える。ただし、いまの延長では将来にたどりつかない。どういう価値観に変化するのかを考える必要がある」

―事業と環境経営の一体化は進みますか。
 「今秋決まる国連の持続可能な開発目標に『持続可能な生産・消費形態を確保する』という目標が入る。企業には事業が制限されるリスクだが、チャンスでもある。生産形態を変革すれば経営は持続可能になる。先駆けてやれば消費者から共感を得られる。やらされていると感じるかもしれないが、未来をつくる誇りを持てばモチベーションが上がる」
(聞き手=松木喬)

※日刊工業新聞にて火曜日に掲載

日刊工業新聞2015年07月07日 素材・ヘルスケア・環境面

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松木喬
編集局第二産業部
編集委員

7月7日付紙面から新しい連載を始めました。エネルギー・資源の制約が厳しくなっても企業活動を継続させるための環境経営が求められています。連載ではCSV(共有価値の創造)、統合報告書、改正ISO14001、環境フットプリントなど最新キーワードも交えながら新しい取り組みを紹介します。COP21のある11月末までの連載を予定しています。

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