2015年春闘が終結 大手企業と中小の賃金格差広がる

「経済の好循環」道半ば

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大手企業ではベア実施が相次いだが・・・
 2015年春闘が事実上終結した。連合がまとめた7月1日時点での最終集計によると、賃上げ額(平均賃金方式)は6354円、率で2・20%と昨年を426円、0・13ポイント上回り、2年連続で前年を上回った。300人未満の中小組合も額で4547円、率で1・88%と昨年をそれぞれ349円、0・12ポイント上回った。ただ、大手との賃金格差はむしろ広がり、景気好循環の流れは不十分だ。
 
【前年上回る】
 16日の中央闘争委員会後会見した古賀伸明連合会長は2%台にとどまった回答水準について「要求趣旨からいえば不満が残る」としたものの、「2年連続かつ昨年を上回る回答を引き出したことは、経済成長と整合した賃上げの流れを提起した14年春闘の流れを継続し、今後に受け継ぐことができたものと考える」と評価した。
 例年、春闘相場をリードしてきた自動車、電機などモノづくり労組が集結する金属労協(JCM)は「6000円以上の賃上げ」の目標を掲げた。5月末時点の回答状況は、指針となる集計登録組合37組合すべてが定期昇給(定昇)分に当たる賃金構造維持分を確保した。このうち、36組合がベースアップ(ベア)を含む平均2801円の賃上げを確保。前年の平均1737円を1000円以上回った。
  
【中小組合平均1865円】
 一方、中堅・中小登録組合も143組合全てが賃上げを獲得。このうち賃上げを獲得した129組合の平均賃上げ額は1865円と前年同時期の1268円を597円上回っている。 
 労働者の7割を占める中小企業の労働者。安倍晋三首相は昨年末の政労使会議で「円安メリットを受けた輸出型大企業は収益が高く、(賃上げや下請け企業への還元など)積極的な対応が求められる」とし、これに対し経団連の榊原定征会長も「(景気の)好循環の2巡目を回すには来春の賃上げが必要だ」とベア容認の構えをみせていた。
 
【小規模企業、現状厳しく】
 ただ、賃上げ額を規模別にみると、1000人以上の大企業が2268円(前年同時期1462円)、300―999人が1807円(同1288円)、299人以下が1632円(同1299円)と、規模間での差は広がっている。 
 もう一つ留意すべき部分がある。企業規模間での賃上げ獲得組合の比率である。規模別にみると、1000人以上が91・0%(同72・1%)、300―999人が82・4%(同68・5%)なのに対し、299人以下は56・1%(同50・4%)にとどまっている。
 10月の大会で引退する古賀連合会長は、中小組合の賃上げについても「賃金相場の底上げ・下支えを一定程度実現できた」と振り返ったが、規模が小さいほど獲得組合の比率が低く、かつ改善度合いも小さいことは規模の格差が拡大していることを裏付ける。
 中小企業は従業員数では全体の約7割、企業数では9割以上を占める。地方経済に与える影響も強い。個人消費拡大による景気浮揚を図るには、大企業から中小・地場産業への利益循環が必要だ。 
(文=編集委員・八木沢徹)
 

日刊工業新聞7月23日付深層断面を一部抜粋

COMMENT

神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

政権の重要課題は「景気回復の実感を全国津々浦々に」-。しかし春闘における賃上げ状況をみる限り、地方経済への波及は道半ばであることが見てとれる。賃上げも、原材料に伴う価格転嫁の問題も政府が過度に介入すべきテーマではないだけに難しい。

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