マツダ復活を支えた生産部門の取組み―「ラインを止めても生産順序守る」
「計画順序生産」旗印に品質、納期など向上
年間自動車生産台数138万台(2015年3月期)と中堅メーカーのマツダが、大手に対抗するために磨いてきたのが柔軟なモノづくりの力。生産現場の実力向上こそが、12年3月期まで4期連続の最終赤字から一転、2年連続で過去最高益を更新中という好調さを支える大きな要因の一つになっている。
マツダで最も古い車両工場、宇品第1工場(広島市南区)。組み立てラインには、発売したばかりの「ロードスター」「CX―3」など8車種が流れる。オープンカーからミニバンまで同じラインを流れてくるのに、組み立て作業はよどみなく進む。「混流生産は宇品第1が一番うまい」。常務執行役員本社工場長の圓山雅俊は胸を張る。
混流生産を徹底させるうえでマツダが旗印として掲げてきたのが「計画順序生産」だ。1台単位で生産する順番を決めて、工場では実際にその通りクルマを作り、部品メーカーの工場も同期して順番通りに部品を生産納入するというもの。02年に部品メーカーを巻き込んで開始した。
その実施に奮闘した1人が圓山だ。生産順序を守るためには製造品質を大幅に高める必要がある。1台でも不具合が生じてラインから跳ね出されれば、即、順序が狂うからだ。
当時最も不具合が多かったのが塗装。数マイクロメートルのホコリが付着していても不具合につながる。工場でゴミやホコリが発生する膨大な数の要因を突き止め、つぶしていった。入社後約15年間塗装技術に携わってきた圓山の経験が生きた。「当初部品メーカーには疑心暗鬼もあった。ラインを止めても生産順序を守ると言って信頼を得てきた」と振り返る。
生産計画の順守率は00年に34%だったのが15年にはほぼ100%に向上。生産リードタイムは00年に平均5直(1直は約8時間)だったのが15年は同3・75直に短縮した。
こうした生産現場の実力向上は、マツダの復活を支えた「スカイアクティブ・テクノロジー」搭載車の生産に力を発揮した。現行4代目の小型車「デミオ」は00年当時の初代デミオに比べ、使う部品は1・59倍に、クルマの仕様の種類も1・54倍に増えた。にもかかわらず生産リードタイム、納期順守率ともに向上させている。
計画順序生産というマツダ独自の取り組みは「マス・カスタマイゼーション(大量個別生産)」の発想にも通じる。圓山は「将来、1台ごとにもっとこうしてほしいとお客さんがいう時代が来るかもしれない。生産現場としても準備しておく必要がある」と話す。(敬称略)
マツダで最も古い車両工場、宇品第1工場(広島市南区)。組み立てラインには、発売したばかりの「ロードスター」「CX―3」など8車種が流れる。オープンカーからミニバンまで同じラインを流れてくるのに、組み立て作業はよどみなく進む。「混流生産は宇品第1が一番うまい」。常務執行役員本社工場長の圓山雅俊は胸を張る。
混流生産を徹底させるうえでマツダが旗印として掲げてきたのが「計画順序生産」だ。1台単位で生産する順番を決めて、工場では実際にその通りクルマを作り、部品メーカーの工場も同期して順番通りに部品を生産納入するというもの。02年に部品メーカーを巻き込んで開始した。
その実施に奮闘した1人が圓山だ。生産順序を守るためには製造品質を大幅に高める必要がある。1台でも不具合が生じてラインから跳ね出されれば、即、順序が狂うからだ。
当時最も不具合が多かったのが塗装。数マイクロメートルのホコリが付着していても不具合につながる。工場でゴミやホコリが発生する膨大な数の要因を突き止め、つぶしていった。入社後約15年間塗装技術に携わってきた圓山の経験が生きた。「当初部品メーカーには疑心暗鬼もあった。ラインを止めても生産順序を守ると言って信頼を得てきた」と振り返る。
生産計画の順守率は00年に34%だったのが15年にはほぼ100%に向上。生産リードタイムは00年に平均5直(1直は約8時間)だったのが15年は同3・75直に短縮した。
こうした生産現場の実力向上は、マツダの復活を支えた「スカイアクティブ・テクノロジー」搭載車の生産に力を発揮した。現行4代目の小型車「デミオ」は00年当時の初代デミオに比べ、使う部品は1・59倍に、クルマの仕様の種類も1・54倍に増えた。にもかかわらず生産リードタイム、納期順守率ともに向上させている。
計画順序生産というマツダ独自の取り組みは「マス・カスタマイゼーション(大量個別生産)」の発想にも通じる。圓山は「将来、1台ごとにもっとこうしてほしいとお客さんがいう時代が来るかもしれない。生産現場としても準備しておく必要がある」と話す。(敬称略)
日刊工業新聞2015年07月23日1面