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百京級スパコンへの一里塚、ARM仕様サーバーのホスティングサービス開始

さくらインターネットが世界に先駆けて商用化
 さくらインターネットは11月をめどに、クラウド型のレンタル方式で英アーム仕様の汎用サーバーが利用できるホスティングサービスを世界に先駆けて商用化する。米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)製のアーム仕様のサーバー「アポロ70」を北海道石狩市のデータセンター内に導入し、月額サービスで提供する。心臓部となるアーム仕様の中央演算処理装置(CPU)は“ポスト・インテル”として脚光を浴びており、新展開への呼び水となりそうだ。

 「アーム・ホスティングサービス」は日本ヒューレット・パッカードの協力を得て、さくらインターネットの子会社であるプラナスソリューションズ(東京都新宿区)が提供する。

 システム基盤となるアポロ70は、米マーベル傘下のカビウムが開発した32コアの新型プロセッサー「サンダーX2」を搭載。HPEは、サンダーX2搭載のアポロ70を「“エクサ(100京)級”の大規模演算を目指す次期スーパーコンピューターへのマイルストーン(一里塚)」として位置付けている。

 これを踏まえ、さくらインターネットは日本ヒューレット・パッカードとの協業により、エクサ級スパコンに向かう高性能コンピューティング(HPC)の新潮流を先取りする。月額のホスティングサービスではメモリ容量が64ギガバイト(ギガは10億)と256ギガバイトの2モデルを用意する。

 HPEはアーム対応の基本ソフト(OS)「リナックス」にいち早くフル対応するなど、アームのエコシステム(協業の生態系)作りをけん引する考え。アポロ70はスパコンのエクサス時代に向けたテストマシンや応用ソフトの動作確認などで引き合いが増えているという。

日刊工業新聞2018年9月14日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
サンダーX2を採用しているのはHPEのほか、米クレイと台湾のギガバイトの3社。また、アーム仕様のCPUでは富士通が次世代スパコン「ポスト京(通称)」向けのプロセッサー「A64FX」を開発済み。中国の華為技術(ファーウェイ)なども名乗りを上げるなど、アーム仕様のプロセッサー開発で、それぞれが独自技術で競り合っている。(編集委員・斉藤実)

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