太陽光で電力供給過剰が問題に、九電が急ぐ火力制御の次の一手

再エネ発電事業者と協力

 九州電力が太陽光発電など再生可能エネルギーの出力制御への準備を進めている。電力の需給バランスを保つため出力を抑える制御で、再エネ発電事業者の協力を得る。今秋に実施の可能性があり、実行されれば離島以外では全国で初めて。カギを握るのが天候だけに予断を許さない状況が続く。

 電力の安定供給には需要と供給のバランスを取り、周波数を一定にすることが必要。周波数の大きな変動は発電設備の停止を引き起こし、大規模な停電につながる可能性がある。夏から秋にかけて気温が下がると空調利用に影響して電力需要が小さくなる。従来は火力発電所を制御するなどして対応してきた。

 しかし近年は太陽光発電の増加などで、春や秋など電力需要が比較的小さい時期、太陽光の出力が大きい昼に供給力が需要を上回る状況が発生している。九州本土での太陽光の接続は7月末時点で803万キロワット。2012年に再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)が始まって以降に急増し、同年度末に比べると約7倍になっている。

 九州電は太陽光の電力を受け入れるため発電所などの設備を駆使する。火力発電所の出力を下げ、ダムを活用する揚水発電所の水のくみ上げに電力を使い、大容量蓄電池に充電するなど対処してきた。それでも5月3日13時には太陽光の出力が需要の8割程度を占めた。これは火力や揚水による調整余力がわずかしかない厳しい需給状況を意味する。

 出力制御が九州本土で実施されるのは、火力や揚水、九州と本州をつなぐ送電線で本州に送電するなどで対応しても供給力が需要を上回る場合。今回の対象となる太陽光は2万4000件で合計出力は約430万キロワット。事業者にはダイレクトメールを送って協力を求めているほか実施の見通しをホームページや電子メールで知らせる仕組みを整えた。

 出力制御に大きく影響するのが天候だ。太陽光による発電と空調利用の需給両面を左右する。雨の降り方によっては揚水の活用に制約が生じるため台風の接近などにも細心の注意を払う。九州電の担当者は天候予測をにらみ、過去の需要実績や発電所の状況などを加味して需給予想の精度を上げている。

(2018年9月13日)

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
09月14日
この記事のファシリテーター

今秋の実施いかんにかかわらず、出力制御が再生可能エネルギーの導入を拡大するために重要であることは変わらない。実施が社会にどう受け入れられるかは、同エネルギーの今後の普及に影響を与えそうだ。(西部・関広樹)

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。