股関節骨折からの寝たきり防げ、米J&Jが指摘する日本の課題

インタビュー/米J&J整形外科部門チェアマンのシロー・ローマー氏

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米J&J整形外科部門チェアマンのシロー・ローマー氏
 米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が日本で大腿(だいたい)骨近位部(股関節)骨折治療における多職種連携の啓発に取り組んでいる。高齢化による患者の増加や医療費の増大が課題にある中、他分野、他診療科間の連携を通じて骨折後の手術までの待機時間を短くし、患者の合併症や寝たきりになるリスクの軽減につなげる。整形外科部門及び北米地域トップのシロー・ローマーチェアマンに話を聞いた。

 ―整形外科事業における日本市場の位置付けは。
 「世界的に骨粗しょうや変形性関節症などの疾患がまん延しており、この事業の重要性が増している。とりわけ日本は重要な市場。人口が多く、高齢化が進んでおり、整形外科ソリューションの必要性が高まるためだ。高齢化に伴う社会問題に我々がどのように対処するか、他の先進国は日本市場での対応に注目している」

 ―股関節骨折治療に力を入れています。
 「股関節骨折は骨粗しょう症に起因するものが多く、日本をはじめ多くの国で国民の健康上の大きな問題になっている。患者への外科的介入の遅れは合併症の一因となり、外科医や病院のベッドなど医療におけるリソースの負担となる。日本の股関節骨折発生件数は2030年に現行比1・5倍の約30万件と増加傾向。だが、日本での手術までの平均待機時間は4、5日で、海外の24時間から48時間以内に比べて長い」

 ―これを解消するには何が必要ですか。
 「多職種連携による治療だ。骨折後48時間以内に手術を受けられる機会が増え、患者の予後も向上する。日本ではこの問題に取り組むため、18年度の診療報酬改定で介護施設などと連携を図る病院に入退院支援加算を拡充するなど施策を講じ、今後もサポートを行っていくと思われる」

 ―J&Jの取り組みは。
 「セミナーを通じて多職種連携の必要性を啓発しており、今後も地方都市での開催を含め検討中。股関節骨折からの回復に向けた幅広い製品をラインアップするほか、病院や医療従事者と提携してソリューションの開発を進めていく」

(2018年9月11日)

COMMENT

米国では手術までの待機時間について48時間以内を推奨するガイドラインがある一方、日本では明確に定義されていない。日本の高齢者人口の割合は50年に65歳以上が約40%に達すると推測され、世界で最も高齢化が進む。患者の増加が見込まれる中で世界に高齢者医療のモデルを示せるかが問われる。(清水耕一郎)

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