民間機エンジン部品を大増産!IHI相馬事業所の生産革命

人間とICTを高度に融合

 IHIが航空機エンジン部品の主力製造拠点である相馬事業所(福島県相馬市)で生産改革に注力している。欧エアバスの小型旅客機「A320ネオ」に搭載される「PW1100G―JM」をはじめ、民間機向けエンジンの大増産局面に差し掛かっているためだ。IoT(モノのインターネット)を活用した作業の効率化に加え、2018年度には17億円を投じて一部生産ラインを組み替える。新型エンジンの開発初期負担が重くのしかかる中、生産性革命で乗り切る。

 最先端の製造設備が所狭しと並び、年間90万枚(17年度)に及ぶエンジン翼部品が製造される相馬第一工場。情報通信技術(ICT)を活用してボトルネックをあぶり出し、IoTやロボットなど最先端技術を利用しつつも「人間の力が覚醒する製造工程」(航空・宇宙・防衛事業領域生産センターの伊豫部亨相馬第一工場工場長)を指向する。

 その相馬事業所が、未曽有の増産局面を迎える。「PW1100G―JM」の18年度販売台数は前年度比3倍を超え、大型ビジネスジェット機向け「GEパスポート20」や米ボーイングの次期大型機「777X」向け「GE9X」の増産も始まる。

 量産初期は開発負担が重く、利益面では苦しい。生産性向上によるコストダウンがカギを握る。そこでIHIは16年度に生産性倍増を掲げて国内航空機エンジン部品4工場を対象に「IQファクトリー」計画を始動。成果が出始めている。

 相馬第一工場のコンプレッサーブレード工程では18年4月に13年度末比で生産性2倍を達成した。作業者1人で2ラインを担当するレイアウト改善に加えて、部品を溶かして加工する際のトラブル防止用カバーを3Dプリンターで作成。生産性を高めた。

 その他職場でも3Dプリンターで軽量治具をつくり、段取り替え時間を大幅短縮するなどさまざまな工夫を凝らしている。

ICTやIoTの活用で工場全体のさらなる効率化を図る

 工場全体のさらなる効率化を目指し、IoTを網の目のように張り巡らせることで、工場全体の管理メッシュを細分化する「コックピット構想」を考案中だ。在庫削減、工程間のムダの排除など、リードタイムを短縮する狙いだ。

 大量生産を基本とする相馬第一工場に対し、相馬第二工場は「担当部品が3500部品に及び、常時1500部品が流れる多品種少量生産」(航空・宇宙・防衛事業領域生産センターの樫村竜也相馬第二工場長兼相馬事業所長)が特徴。動翼部と内側のディスク部を一体化した「IBR」などを手がける。

 「PW1100G―JM」向けのIBRにはすでに30億円以上を投資しているが、18年度はさらなる増産に対応するため、リージョナルジェット用エンジン「CF34」のディスクラインを第4棟から第3棟に移設するとともに、第4棟には17億円を投じ、IBRラインを増設する方針だ。

 IHIは現在、IBRを月50台製造している。残りは米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)が手がけているが、高い競争力が評価され、段階的にP&Wの生産分を取り込みながら、19年度に向けて最大で月産80台になる見通しだ。

(2018年9月11日)

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
09月12日
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人間とICTが高度に融合した相馬事業所の先進的なモノづくりへの挑戦は、IHIの航空機エンジン事業の持続成長を支える礎になる。(編集委員・鈴木真央)

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