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4―6月の粗鋼生産量は6.4%減、2年半ぶりの低水準。回復は秋以降?

自動車などの製造業、建築・土木向け出荷振るわず。業界を挙げて減産も響く
4―6月の粗鋼生産量は6.4%減、2年半ぶりの低水準。回復は秋以降?

新日鉄住金君津製鉄所第4高炉

 日本鉄鋼連盟は21日、4―6月の粗鋼生産量(速報)が前年同期比6・4%減の2589万700トンになったと発表した。四半期ベースでは2012年10―12月の約2591万トン以来の低水準となった。自動車をはじめとする製造業向け、および建築・土木向けの出荷がいずれも振るわず、業界を挙げて減産が行われたことも響いた。

 炉別では高炉系の転炉鋼が同7・0%減の1961万3500トン、電炉鋼が同4・7%減の627万7200トン。この間、新日鉄住金が約1割、JFEスチールが約5%の減産を行うなど鉄鋼大手が減産に踏み切ったこともあり、高炉系の落ち込みが大きかった。

 鋼種別では原油価格の下落に伴う油井管やラインパイプなどの落ち込みが大きく特殊鋼のマイナスに働いた。なお、6月単月は前年同月比6・2%減の857万600トンで10カ月連続のマイナスとなった。1日当たりの生産量は5月を0・7%下回り、依然として減産基調が続いていることを示している。

 在庫調整の遅れで7―9月も低水準の生産が続く。鉄鋼大手は少なくとも8月まで減産基調を維持する方針。本格的な回復は10―12月期以降にずれ込みそうだ。
日刊工業新聞2015年07月22日 4面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
自動車や建築関連の需要が振るわず、鉄鋼製品の代表的な指標である「薄板3品」の在庫も高水準のままだ。自動車販売の好転や都市開発プロジェクトの稼働など、秋口以降の好材料が出てくることを期待したい。

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