日立のヘルスケアは事業は成長できるのか!?またまた組織再編へ
日立メディコと日立アロカメディカルを日立本体に吸収合併。製造部門は集約し効率化
日立製作所は21日、ヘルスケア事業の強化に向けて、子会社の吸収合併など事業体制を再編すると発表した。日立本体に日立メディコ(東京都千代田区)と日立アロカメディカル(同三鷹市)を吸収合併すると同時に、両子会社の製造部門を統合し2016年4月に製造子会社を新設する。グループで経営を一体化するとともに、医療機器のコア技術や製造ノウハウを融合。機器の高品質・低コスト化を推進し国際競争力を高めていく。
新設する製造子会社「日立ヘルスケア・マニュファクチャリング(仮称)」は従業員700人規模になる見通しで、千葉県柏市、同茂原市、東京都青梅市、同国分寺市に拠点を配置する。日立メディコはこれまでコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴断層撮影装置(MRI)、医療ITシステムを、日立アロカは超音波画像診断装置をメーンに事業を展開してきた。日立メディコの14年度売上高は約832億円、日立アロカは約570億円。
日立はヘルスケア事業を成長戦略の柱の一つに位置づけており、今回の再編で事業の一体運営体制を整える。グループ内で重複していた国内外の拠点も集約し、医療機器の開発・販売を効率化する。製品ラインアップとサービス網を充実し、医療機関に対し機器やソリューションを自社で一括提供する。日立グループの同事業(ヘルスケア社)の14年度売上高は3379億円(海外売上高比率62%)。中期経営計画では18年度に同6000億円(同67%)を目標に掲げている。
2014年4月に医療機器事業の大幅な組織再編を実施。完全子会社化した日立メディコ、電力部門にあるがん治療装置、情報通信部門が担当する医療向けIT事業を統合した約6000人をヘルスケアグループとしまとめ、総合的な営業窓口になる社内カンパニーのヘルスケア社を発足させた。
現在、診断・治療機器が7割を占めるが、今後はITを活用した予防や病院向けのソリューション事業を5割まで高める。自力成長を基本にするが、M&Aや出資など戦略投資枠として500億―1000億円を用意している。
日立メディコは2010年に超音波画像診断大手のアロカを買収(現日立アロカメディカル)。もともと日立メディコはコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴断層撮影装置(MRI)の高級機で特徴を持つ会社だったが、これで普及機の品ぞろえも強化できた。ただ同社の営業利益率は3%弱で、競合に比べ見劣りする。
この分野は米GEヘルスケア、オランダ・フィリップス、ドイツ・シーメンスなど医療機器御三家といわれる海外勢が強い。東芝も営業力で定評ある。医療機器は機器本体の売り上げよりも、導入後の保守や消耗品で稼ぐ構図。特に高級機は数億円もする製品もあり台数が出ないため、赤字になりやすい。しかも本来なら日立が得意とする研究開発でも、競合他社に対し遅れが目立つ。
日立メディコを国内向け比率が圧倒的に高く、アロカ買収でもそこは解消できていない。グローバルでの販売力強化が最大の課題だ。普及機に加え汎用分析装置など新しい分野が加わったことで、新興国を中心に攻勢をかける。IT関係では欧米で約500の病院などに導入実績のあるストレージを予防・検診・予後のプラットフォームとして活用。一人の履歴を追いかけるデータを収集や統計解析を狙う。
がん治療装置では北海道大学と日立製作所が共同で開発を進めてきた新型の陽子線がん治療システムの施設が、2014年春に稼働。北大の動体追跡照射技術と日立のスポットスキャニング照射技術を融合した。X線では十分な放射線がかけられず治療が難しかった肺や肝臓、膵臓(すいぞう)など大きながん治療が対象になる。これまでに粒子線装置の受注実績は日米で11件。現在、欧州やアジアとも商談が進んでおり、年間3台程度の受注を目指す。
新設する製造子会社「日立ヘルスケア・マニュファクチャリング(仮称)」は従業員700人規模になる見通しで、千葉県柏市、同茂原市、東京都青梅市、同国分寺市に拠点を配置する。日立メディコはこれまでコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴断層撮影装置(MRI)、医療ITシステムを、日立アロカは超音波画像診断装置をメーンに事業を展開してきた。日立メディコの14年度売上高は約832億円、日立アロカは約570億円。
日立はヘルスケア事業を成長戦略の柱の一つに位置づけており、今回の再編で事業の一体運営体制を整える。グループ内で重複していた国内外の拠点も集約し、医療機器の開発・販売を効率化する。製品ラインアップとサービス網を充実し、医療機関に対し機器やソリューションを自社で一括提供する。日立グループの同事業(ヘルスケア社)の14年度売上高は3379億円(海外売上高比率62%)。中期経営計画では18年度に同6000億円(同67%)を目標に掲げている。
世界3強の背中は依然遠く。M&Aも視野に
2014年4月に医療機器事業の大幅な組織再編を実施。完全子会社化した日立メディコ、電力部門にあるがん治療装置、情報通信部門が担当する医療向けIT事業を統合した約6000人をヘルスケアグループとしまとめ、総合的な営業窓口になる社内カンパニーのヘルスケア社を発足させた。
現在、診断・治療機器が7割を占めるが、今後はITを活用した予防や病院向けのソリューション事業を5割まで高める。自力成長を基本にするが、M&Aや出資など戦略投資枠として500億―1000億円を用意している。
日立メディコは2010年に超音波画像診断大手のアロカを買収(現日立アロカメディカル)。もともと日立メディコはコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴断層撮影装置(MRI)の高級機で特徴を持つ会社だったが、これで普及機の品ぞろえも強化できた。ただ同社の営業利益率は3%弱で、競合に比べ見劣りする。
この分野は米GEヘルスケア、オランダ・フィリップス、ドイツ・シーメンスなど医療機器御三家といわれる海外勢が強い。東芝も営業力で定評ある。医療機器は機器本体の売り上げよりも、導入後の保守や消耗品で稼ぐ構図。特に高級機は数億円もする製品もあり台数が出ないため、赤字になりやすい。しかも本来なら日立が得意とする研究開発でも、競合他社に対し遅れが目立つ。
日立メディコを国内向け比率が圧倒的に高く、アロカ買収でもそこは解消できていない。グローバルでの販売力強化が最大の課題だ。普及機に加え汎用分析装置など新しい分野が加わったことで、新興国を中心に攻勢をかける。IT関係では欧米で約500の病院などに導入実績のあるストレージを予防・検診・予後のプラットフォームとして活用。一人の履歴を追いかけるデータを収集や統計解析を狙う。
がん治療装置では北海道大学と日立製作所が共同で開発を進めてきた新型の陽子線がん治療システムの施設が、2014年春に稼働。北大の動体追跡照射技術と日立のスポットスキャニング照射技術を融合した。X線では十分な放射線がかけられず治療が難しかった肺や肝臓、膵臓(すいぞう)など大きながん治療が対象になる。これまでに粒子線装置の受注実績は日米で11件。現在、欧州やアジアとも商談が進んでおり、年間3台程度の受注を目指す。
「ひと目でわかる!日立製作所」(日刊工業新聞社刊)から一部抜粋
日刊工業新聞2015年07月22日 4面