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「テキサス新幹線」、日本連合は本当に受注できる?

JR東海が米に子会社設立
「テキサス新幹線」、日本連合は本当に受注できる?

新会社設立で米テキサス州の高速鉄道計画受注を目指す(イメージ)

 JR東海は3日、米テキサス州で米テキサス・セントラル・パートナーズ(TCP)が計画するダラス―ヒューストン間約385キロメートルの高速鉄道の日本企業5社連合の受注に向け、全額出資子会社をテキサス州に設立したと発表した。高速鉄道の中核部分の受注に向け、TCPとの協議を担う。受注決定後は開業に向けた準備活動を進める。

 JR東海は日立製作所、三菱重工業など電機・重工大手との5社連合を組み、TCPに東海道新幹線方式の導入を働きかけている。TCPは高速鉄道の2019年着工を予定しており、JR東海は新会社設立で受注に向けた活動を加速する。

 新子会社は資本金100万ドル(約1億1000万円)。JR東海からの出向者4人ほどで始動する。日本企業連合の受注が決まった場合は、高速鉄道の各システムのインテグレーション、走行試験、要員養成を担当する。高速鉄道の建設段階に入った場合、人員の増員を見込む。

 JR東海はTCPに高速鉄道の技術支援をする現地子会社も16年に設立している。
日刊工業新聞2018年9月4日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
世界各地で進む新幹線プロジェクトの中でも、JR東海を中心に民間が主体となっているのが、米国のプロジェクトだ。テキサスの計画は、東海道新幹線の「N700系」を中心とする高速鉄道のトータルシステム「N700―I Bullet」の導入を前提に、JR東海が技術的なプロモーションを展開してきた。新幹線の導入を目指すダラスとヒューストンは、それぞれ人口約600万人前後の大都市。両都市間の距離は東京―名古屋間に相当する。新幹線は初期投資がかさみ、計画から開業まで時間がかかるため、旅客流動が見込めるかが、必須要件となる。世界広しといえども、これをクリアするところはそう多くない。また貿易摩擦がどのように影響してくるかも不透明。

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